美しき山々を行く国際列車。
車窓に流れるは、色とりどりの少数民族。
ハノイから列車で約4時間の山間の村ランソン、そしてドンダン。ここは、2000年前から中国への国境が開かれていたという伝統のルート。最近になってモンカイルートが開かれたため、物資のやり取りは少し減退してきているが、ベトナムの美しい山々を眺めながら、北京行きの国際列車で国境を越えることができるのがこのルートの最大の魅力だ。列車での国境越えの際、出国審査はドンダン駅構内のイミグレーションで受けることになる。
ランソンは、キールア市場、ドンキン市場という2つ大きな市場を中心に栄える街。キールア市場では夜市が23時まで開かれる。ドンキン市場は漢字で書くと「東京」。東遊運動で知られる革命家ファン・ボイ・チャウが、東京を訪れたことを記念して名付けられたと言われ、どちらの市場も中国から仕入れた商品が所狭しと並べられている。
ランソン近郊には、タイ族、ヌン族をはじめとする8つの少数民族が住んでいる。早朝、バックソン通りの青空市場では、青やカラフルなチェック柄の服を着た少数民族が、新鮮な山の幸を売る姿を見ることができる。またキールアの市場では、旧暦の2、7、12、17、22、27日に、近隣に住む少数民族が大勢買い物にやってくる。少数民族にとって、市場は男女の出会いの場所でもあり、若い男女が語らう姿も、見ていて微笑ましい。ランソンの観光ポイントは、ドン・タム・タインとドン・ニ・タインという2つの鍾乳洞。ドン・タム・タインの方が規模が大きく、ライトアップも美しい。
ランソンから北北西へ約14キロのドンダンは、ランソンよりもぐっと規模の小さい国境の町。見所といえばそまつな小屋にビニール屋根をつけた店が並ぶ市場くらいだが、ここにも旧暦の5、10、15、20、25日に近郊の少数民族が多数集まってくる。国境へは町中から車で5分ほど。国際列車が乗りつけるドンダン駅構内には、中国語でかかれた案内も見ることができる。
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