8つの市場を持つ、卸の街モンカイ。
港からバスで揺られること20分ほど。途中、小さな村を通りすぎ、バスはモンカイの町の中心へ到着した。バスを降りた人達は、足早にちりぢりに。みんなどこへ向かうのだろう。彼らの中にも中国に行く人がいるかと思うと、国境への憧れが募る。しかし、ここはじっくり腰をすえ、まずモンカイの街を見て周ることにした。
次の日の早朝、ひときわ目を引く町で一番大きな市場へ出かけた。しかし、まだお店が開く様子はなく、大きな荷物を担いだ人が数人行き交うだけ。仕方がないので市場そばの路上カフェでコーヒーをすする。すると、店のおばちゃんがいきなり中国語らしい言葉で話しかけてきた。分からない様子の私を見ると、次はベトナム語。
「この街の外国人はほとんど中国人だから、中国人かと思ったのさ。中国語ができなきゃ商売にならない。ほら、そこの市場も中国人が建てたもので、毎朝国境を越えてやってくる中国人が商売をしているのさ。もちろんベトナム人のパートナーがいるけど、彼らはベトナム人のお客のために通訳をするだけ。」
いかにも国境の町らしい、両者の不思議な関係だ。だから通常早朝から始まるベトナムの市場の営業時間も、ここでは国境が開かれる7時から。国境を越えて帰る中国人のために、昼の2時には店が閉まるという。毎日国をまたぎやってくる商人たち。ふと、そんな彼らの姿を見たくなった私は、コーヒーを一気に飲み干し、商人達の中国との出入り口、カーロン橋へと向かった。
橋へ向かう途中、大きなトラックから沢山の荷物が積み下ろしされているのが見えた。その向こうには何艘もの小船が集まっている。実はカーロン橋のたもとには船着場があり、船でやってくる商人たちが、ここからベトナムへ入ってくるのだ。覗いて見ると、そこには入国審査を行う建物があり、備えられた柵の向こう側に大勢の人が並んでいる。客待ちをしていたバイクタクシーのドライバーが言うには、ここから中国の物資が入り、逆にベトナムの物資が中国へ船を使って送られる。そして、もうすぐ中国の商人たちが出勤してくるという。そこで様子をみていると、しばらくして重そうな柵がゆっくりと開かれた。それと同時に並んでいた人たちが、駆け足で市場へと向かいはじめる。ベトナム人だったらこういうときにもゆっくり歩くんだろうなと、違う国の気質を見た気がした。
橋までいくと、それはベトナムではあまり見かけないものだった。カーロン橋は、1961年に中国人建築家によりデザインされた石橋で、側面には漢字で、反対側にはベトナム語で中国とベトナムの友好を記す文が刻まれている。橋からは物資を運ぶ船や、荷の積み下ろしに精を出す人々、そしてその先に大きな町が見えた。きっとあれが中国なのだろう。橋の下に流れる小さな川を往来する船を眺めていると、本当にここまでやってきたのだと、徐々に実感がわき始めた。
目指すは遥か大陸の向こう | 海を越え国を渡る1
海を越え国を渡る2 | ベトナムに融け合う大陸1 | ベトナムに融け合う大陸2
いざ国境を越え中国へ1 | いざ国境を越え中国へ2
山を抜け国を渡る1 | 山を抜け国を渡る2 | 風と共に国を行く
中国国境の旅トラベルインフォ
スケッチトラベルで行く中国国境の旅
モンカイ2泊3日の旅 -日帰りランソンの旅
(2005年5月11日 水曜日 11:59JST更新)
|