中国国境の旅
ベトナム最東北端の村、チャコー。

	↑何もない荒野にぽつんと建つチャコー教会。「なぜこのようなところに」と、驚かずにはいられない華麗な装飾が見事
	「ベトナムの美しい海岸9選」に選ばれたチャコー海岸。砂浜の長さは17キロほど何も無い荒野にぽつんと建つチャコー教会。「なぜこのようなところに」と、驚かずにはいられない華麗な装飾が見事

　昼過ぎ。今日国境を越えるのはやめ、モンカイからほど近い、美しい海岸線があるというチャコー村へ一足伸ばすことにした。

　モンカイから約7キロ。車で15分ほどのその村は、海岸線に国境を持ち、モンカイから村へと続く道をまっすぐ走った最終地点が海岸となっている。そこはベトナムの最東北端で、多くのベトナム人がベトナムの地図を書き始める最初の地点。国境と聞くとものものしさをつい感じるが、実際はのんびりとした海が広がるだけ。そして、そこでミミズのような生き物を取っていたおばちゃんは「今日は、あまり取れないよ」と嘆く。周囲に中国らしい雰囲気は全くなし。昔から海と共にひっそり生きてきた、ベトナム人の姿がそこにあった。

　その後向かったのは、1511年に建てられ、幾度の改修工事を行いながらも、その原形を留めるチャコー集会所。建物自体に華々しい雰囲気はないが、周りでは子供たちが無邪気に遊び、どこか日本の田舎のお寺を思い出させた。そこで出会った集会所の管理人であるおじいさんの話によると、この村の祖先は、ハイフォンにあるドーソン村の人々。彼らが魚を取りに出かけた際、突然台風に遭い、大きな波と強い風から逃れた12の家族がチャコーに偶然上陸した。そして、その内6つの家族がそのままこの土地に住み、チャコー村の祖先となったという。

　確かに今、海は人や物を運ぶルートして利用されている。しかし遠い昔も偶然とはいえ、人をここへ誘うルートとして、確かに南とつながっていたのだと、私は自分が通ってきた海を再び振り返った。

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モンカイ2泊3日の旅 -日帰りランソンの旅

(2005年5月11日 水曜日 11:59JST更新）