脳卒中は、4時間以内の治療が肝要 緊急時に対応できる準備を

脳卒中は、4時間以内の治療が肝要 緊急時に対応できる準備を
症例
脳卒中を発症した60代の日本人男性が来院。他院では検査や治療がされず、麻痺などの症状が進行していた。「虚血性脳卒中」と診断され、発生から18時間が経過していたため後遺症が残り、治療とともにリハビリを実施中。

【今回のドクター】
ファミリーメディカル
プラクティス・ホーチミン市
ラフィ・コット医師
ファミリーメディカルプラクティスの創立者・CEO、内科医。外資系の複合医療機関として臨床ケア、緊急医療サービス、ウェルネス健康診断センターを提供する。

日本での出血性脳卒中の割合は
ヨーロッパ諸国の2倍

脳卒中は、何かの拍子に血液の流れが滞り、脳の血管が詰まったり破れたりして脳に必要な酸素が届かなくなり起こる病気です。日本では死因の第4位であり、最も介護が必要な疾患の1つです。日本における脳卒中の主な原因は喫煙、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病であり、さらに高齢化社会が進行していることが挙げられます。

脳卒中を発症すると、酸素を得られない脳細胞は数分以内に死に始めます。何かが脳の一部への血液供給を遮断した場合は「虚血性脳卒中」と呼ばれ、脳の血管が破裂した場合は「出血性脳卒中」と呼ばれます。いずれの場合も半身麻痺や言語障害などの後遺症が残ることがあります。

時間の損失は、脳の損失。
治療は一分一秒を争う

医療機関ではまず虚血性脳卒中と出血性脳卒中を区別するために、直ちにCT検査を行います。虚血性では「血栓を溶かす」薬を使用する血栓溶解療法がとられます。この治療は脳卒中の発生から4時間以内に開始するのが最も効果的です。

出血性なら、脳内の血液を除去し、破裂した血管を修復するために緊急手術が必要となる場合があります。この処置には、即座に介入できる高度な技術を持った脳神経外科チームが必要です。

突然の片方の顔の麻痺、手足のしびれや麻痺、言語障害、意識障害などの症状に気づいたら、すぐに病院を受診しましょう。また、いざという時に対応ができる病院を把握しておくことが大切です。
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