ベトナムふしぎ発見!/ベトナム5000年の歴史の象徴 「お歯黒」は消えゆく運命?

女性の美と成人を象徴する 主にキン族の習慣

ベトナムのお歯黒(Nhuom Rang Den)の始まりは、フン(Hung/雄)王が建国したベトナム史上初の国家とされる文郎国(紀元前2879年~258年)に遡る。嗜好品のキンマの葉とビンロウジュの実を噛むと歯が褐色になるため、歯を黒く染めるのがキン族(ベトナム人)に欠かせない習慣となった。 とくに白い肌と黒い歯は女性の美の基準となり、12~13歳で歯を黒く染め始め、お歯黒でないと結婚式に招かれなかった。ルー(Lu)族など山地民族の女性にもお歯黒の習慣があり、結婚の条件でもある。

お歯黒の工程は1ヶ月ほど ツヤのある赤黒に歯を染める

お歯黒には、4つのステップがある。まず3~5日ほど、乾燥させたビンロウジュで歯を磨き、酢などを希釈した水で口をすすぐ。バナナの葉に、カイガラムシの分泌液と酢を混ぜた染料を塗って寝る時に歯に貼り、10日間続けると歯が赤茶色に染まる。次にザクロの皮やシナモン、もち米粉などを煮込んだ糊を3日間、歯に塗る。最後に、ココナッツの皮を燃やして出た液体を鉄の包丁に数時間のせて黒くし、4日ほど塗ると黒いつやが出る。この工程は毎年行って光沢を保つのだ。 かつては男女共に行ったお歯黒は、20世紀に入ると欧米文化の影響で南部の人々や男性は行わなくなり、次第に女性も減った。現在は主に北部の高齢の女性に見られるくらいだ。
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