サーカス団、芸人、歌手が登場! メコンデルタの賑やかな葬儀

サーカス団、芸人、歌手が登場! メコンデルタの賑やかな葬儀

涙と悲しみを乗り越えるために
歌舞音曲で故人を送り出す

葬儀といえば、洋の東西を問わず、哀しみの中で厳粛かつしめやかに行われるもの。ところがメコンデルタの葬儀では、始まりから出棺まで、楽団が切れ目なく演奏を続け、マジックやカラオケ、頭の上に椅子やテーブル、さらにはバイクまで載せるバランス芸、火吹き芸など、さまざまな出し物が次々と披露される。

 これらのパフォーマンスは、トランスジェンダーや女装をした男性たちによって進行されることが多く、葬儀の場とは思えないほど明るい雰囲気の中、時にユーモラスに、時に激しく、時に哀切な調子で、参列した親族知人たちの心に訴えかける。

 なぜ、このように独特なスタイルで故人を送り出すのだろうか?

「死は終わりではなく、旅立ち」
メコンデルタの人々が抱く死生観

 メコンデルタの葬儀がこれほど賑やかなのは、死を単なる終わりではなく、新たな旅立ちと捉える人生観があるからだという。葬儀で過度に泣き叫ぶことは、故人の魂を現世に引き留め、安らかな旅立ちを妨げてしまうと信じられている。

 そのため、賑やかな音楽やパフォーマンスで葬列を盛り上げ、死の寂しさを和らげることで、遺族の張り詰めた悲しみを少しでも軽くしようとする。こうして皆で明るく送り出すことは、生死の摂理を受け入れ、故人が安らかに旅立てるよう願う、慈愛に満ちた方法なのである。

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