メディカルトーク 子どもが肛門の痒みを訴えたら 蟯虫(ぎょうちゅう)症かも?

メディカルトーク

症例

5歳女児。肛門周囲の痒みと肛門から虫体出現があり受診。蟯虫症と診断し、本人はアルベンダゾール内服を2週間間隔で2回、同居家族は全員1回一斉に内服した。本人は軽快し、家族もしっかりと予防できた。

かつて日本でも多く見られた蟯虫症 感染は、卵の経口摂取によるもの

蟯虫症は、寄生虫症です。学校健診でもセロハンテープ肛門周囲検査法が行われていました(2016年4月から義務化廃止)。 虫卵の経口摂取で感染し、摂取2~3週間後に成虫となり腸内に寄生します。雌の成虫は、夜間に肛門から這い出し、周囲の皮膚に産卵します。肛門を掻いた手指や下着、敷布に付着した虫卵が散布され粉塵とともに吸入され他の人に感染します。寄生が少量であれば無症状のことが多く、ときに肛門の痒みや腹痛などが見られる程度です。感染を繰り返し、多数寄生するようになると、下痢や強い腹痛を来すこともあります。幼児は、肛門周囲の痒みを訴えたり、そのために不機嫌・夜泣きが見られたりすることもあります。

感染したら、手洗い・爪切りなど 手指の衛星を心がけて

治療は、メベンダゾールやアルベンダゾールという薬を2週間隔2回内服します。同時に同居家族の予防・治療も重要で、症状がなければ1回の内服で終了です。 ネットなどで半年毎の虫下し内服を勧める内容を見かけますが、ベトナムでは回虫や鞭虫(べんちゅう)、赤痢アメーバなどの下痢、腹痛、血便などを来す寄生虫も流行しており、検査・治療が異なるため、病院での受診をお勧めします。 予防には、野菜や果物などはしっかりと洗うこと。感染していたら、手指衛生や部屋の掃除、寝具・タオルの共有を避け清潔を保つことが大切です。トイレ後や食事前の手洗い、子どもが砂場やおもちゃで遊んだ後の手洗いは言うまでもありません。
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