ベトナムパペット劇場/良い米を育てるために /『田起こしと水やり』Vol.22

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農民の仕事を表現する演目

ベトナム人の生活の一部となっている農業は、たびたび民間芸術で取り上げられるテーマのひとつだ。 劇中では、労働賛歌が楽しく響く中、水牛を使って田畑を耕したり、竹製の大きなしゃもじのような農耕具「ガウソン/Gau Song」で水を撒いたりするなど、農村で今でも見られる光景が繰り広げられる。たとえ農作業が大変でも、天真爛漫に歌いながら働く農民たち。そんなポジティブ精神を褒め称える意味も込められた内容となっている。

文化と広く関わっている農業

長い農耕の歴史を持つベトナムでは、生活にもその文化が広く影響を与えてきた。農業には肥沃な土壌や豊富な水に加え、多くの人力を要するために、人々が集まり集落が形成されていったとされる。また、「良く噛めば腹持ちがよく、土を深く耕せば良い米ができる」という稲作にまつわることわざがあるのも、その一例だ。機械のない時代は農作業が重労働だったため、米を宝石のように貴重な存在と考えたり、収穫に影響する雨、雷、稲光、雲を司る四大女神「四法/Tu Phap」を祭ったりするなど農業から派生した習慣も多い。 生活や風習に深く関わる『田起こしと水やり』は、多くの劇団に演じられ、田植えシーンも織り交ぜるなど、農作業の全行程を表現したものもしばしば見られる。 vns_puppet_201610_photo_002 (上)水牛と一緒に田畑で働く2人 (下)「ガウソン」は、池で魚を取るために水を汲み出すのにも使われる
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