メディカルトーク /第101回「川崎病」ってなに?

メディカルトーク 症例1

1歳2ヶ月の男児。38度台の発熱と体に発疹を認め病院を受診。のど風邪と診断され、抗生物質と解熱剤を処方され帰宅した。翌日から眼と唇、手足が赤くなり、その後も解熱せず、再受診。首のリンパ節も腫れており、川崎病と診断された。

今回のドクター

原田知典医師/さくらクリニック
①川崎病とは? 日本では毎年1万~1万3000人の乳幼児が川崎病を発症し、その多くが3歳以下です。日本人に特に多く見られる病気ですが、欧米では非常に稀です。日本では、熱のある乳幼児を診察するときは必ず念頭に置かないといけない病気です。 主な症状は、①5日以上持続する発熱、②両側眼球充血、③口唇の発赤または、舌にイチゴのようなブツブツができる苺舌、④不定形の発疹、⑤手足が硬く腫れる硬性浮腫(こうせいふしゅ)または、手の平や足の裏に紅斑が出る手掌足底紅斑(しゅしょうそくていこうはん)、⑥頸部リンパ節腫脹。このうち5項目以上を満たせば診断が確定します。どの症状も小児ではよく見られるため、見慣れた小児科医でないと見過してしまいやすい病気です。 ②冠動脈のこぶは治療が長期に 原因は感染や遺伝など諸説あり、まだ分かっていません。全身の中~小動脈に炎症が起こり、前述の様々な症状を引き起こします。その中でも問題になるのが、心臓に栄養を運ぶ冠動脈という血管にできるこぶ(冠動脈瘤)です。大きいものほど破裂や血管が詰まる危険が高くなります。こぶができると治療は年単位に渡り、状態によっては心臓に負担をかけないための運動制限が長期間必要になります。そのため、治療目標は「いかにこぶを作らないようにするか」です。 ③早期発見が治療の第一歩 まずはこの病気を疑うことが治療の第一歩。早ければ発熱から7~8日で冠動脈に変化が現れ始め、数日でこぶを作ってしまう可能性があるため、早期診断と治療が必要だからです。標準的な治療は、アスピリンと大量免疫グロブリンの投与になります。しかし、改善しないケースが2割程あり、高い確率でこぶを作ってしまうため、このような場合は専門施設での治療が推奨されます。
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