名物料理
ベトナムを代表する
料理となったフエの美味
フエ料理の特徴の1つは、サイズが小さく上品であることだろう。ベトナム風お好み焼きと紹介される、南部の名物バイン・セオに比べ、そのフエ版とも言うべきバイン・コアイは小皿に乗ってしまうほど小さい。また、麺類などの場合、ドンブリそのものが小振りである場合も少なくない。家庭でも、1品のおかずの量は少なく、ただし種類をたくさん出す傾向がある。これはかつて皇帝が、美味しい料理を数多く食べられるように小皿で出させた名残とも、また、都人として何事も上品を身上とするフエの人が、大皿でわいわい食べるよりは小皿で食べることを好んだからとも言われる。
また素材的には、新鮮な野菜を豊富に使うことも特徴だ。ベトナム料理自体、野菜を数多く使うが、中でもまだ熟していない果物も野菜として使った名物料理がフエにはある。その典型が青いイチジクを使った和え物であるヴァ・チョン(Va Tron)、同じくジャックフルーツを使ったミット・チョン(Mit Tron)だろう。
フエの名物料理の中には、当地だけでなく、ベトナムどこでも食べられるほど普及しているものも、もちろん少なくない。その代表格がブン・ボー・フエ。一説には、その無骨な味わいはフエの人の素朴さを、そしてチリの辛さは内に秘めた感情の激しさを反映しているとも言われる。
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