大いなる知恵、それは自然がもたらした。
全ての素材は、庭先から
右)泥藍を長期保存する際、藍の色素が飛ばないように、栄養分として、時おりお酒を注ぐ必要があるという。そのため、彼らの中で藍は「酒飲みの男」と例えられる。
タイ族はもっぱら木綿、黒モン族は麻の布地を染めに利用する。この地方では、古くから大麻の栽培が盛んに行われ、彼らはその大麻から糸を紡ぎ出してきた。葉を取り除いた麻の茎から表皮を剥ぎ、繊維部分をひも状につなぎ合わせる。細く割いた麻ひもをねじり、手に巻きつけている黒モン族の姿をサパの町でもよく見かけたが、それがこのつなぎ合わせの作業というわけだ。
そのひもは糸車で縒られ、大きな糸だまとなる。その後、木灰を入れた熱湯で湯がかれ、そこに蜜蝋を加えて脱色される。そうして出来上がった麻糸を機で織り、彼らは藍に染めるのだ。
藍液の攪拌から2日。完全に藍の色素が沈殿した樽は、見事に2層に分かれていた。上澄み液を捨て、底にたまった泥を布で包んで吊るし、水分を抜く。約3日で藍の色素を含んだ消石灰は、粘土のような状態となり、藍染めの染料である泥藍ができあがる。
この泥藍は半年の保存が可能。一つの樽から採れる泥藍は5kg。それで幅約25cmの布をおおよそ17m染め上げることができるという。 |