運を買い、不運を売る!? 新年の夜に開かれる“地獄市場”とは

運を買い、不運を売る!? 新年の夜に開かれる“地獄市場”とは
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ぼらない売り手、値切らない買い手
名前は怖いが、やさしい市場

 旧暦1月2~8日の深夜2〜5時ごろ、ベトナムの北部地域では年に1度の「地獄市場/Chợ Âm Phủ」と呼ばれる定期市が開かれる。かつての墓地や古戦場の近くで開かれることが多く、「生者と死者が出会う場所」とされ、電気ではなく油灯やキャンドルの灯りが、不思議で静かな空気をつくり出している。

 この市場は「運を買い、不運を手放す」場所とされ、「値切り」や「吹っ掛け」は縁起が悪いとされている。野菜、農具など素朴な品々が並ぶ不思議な雰囲気の中、売る人も買う人も穏やかな気持ちで参加する。

追悼の記憶から生まれた
北部で最も人気のある“地獄市場”

 紀元43年、チュン姉妹(Hai Bà Trưng)の軍が漢と戦った古戦場のあるバックニン(Bắc Ninh)省スアンオー(Xuân Ổ)村で、旧暦1月4日深夜から5日早朝、“地獄の扉が開く場所”と信じられる「陰陽市場/Chợ Âm Dương」が開かれる。戦死した兵士の家族が、毎年旧正月のテト(Tết)に行っていた供養が、後に風習として定着したのが由来とされる。

 市場には、冥銭や供え物、塩、お粥などが並び、黒い鶏は運気を呼ぶ供物として人気がある。買い手は、売り場ごとに置かれた水の鉢にお金を投げ入れ、浮かんだお金は亡き人のもの、沈んだお金は生者のものとされる。現在は、亡き人への思いを馳せ新年の幸運を祈る場として受け継がれているのだ。
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