“熱いお茶”より“アイスティー” 国民的なドリンク「チャーダー」の起源と文化

“熱いお茶”より“アイスティー” 国民的なドリンク「チャーダー」の起源と文化

20世紀に登場したチャーダー
北ではぜいたく、南では日常

 氷入りのお茶「チャーダー/Trà Đá」。その普及の過程は南北で異なる。四季があり、中国文化の影響が強い北部では、渋みのある熱いお茶が好まれた。1920年代、ハノイに製氷工場が登場し、ホアンキエム湖周辺のアイスクリーム店では氷水にペパーミントオイルを垂らすという飲み方も生まれたが、氷はまだ一般的ではなかった。

 一方、年中暑い南部では、フランスやアメリカの影響で冷蔵庫が普及し、氷入りの飲み物が早くから定着。甘い味が好まれる土地柄から、とくにメコンデルタでは「砂糖入りチャーダー/ Trà Đá Đường」が広まった。1975年の南北統一後は、南部のチャーダー文化は冷蔵庫とともに北部へも広がっていった。

格式は不要、気軽で爽快
愛され続けているチャーダー

 昔からベトナムでは、濃く深い味の熱いお茶を飲むことが上品な嗜みとされてきた。ターイグエン(Thái Nguyên)産など上質な茶葉を使い、美しい茶器で丁寧に味わうのが作法だった。

 一方、安い茶葉を煮出して氷を入れるだけのチャーダーは、当初「手軽すぎる」と見なされたが、労働者や学生にとっては暑さを癒す爽快な1杯。2000〜5000VNDという手頃な価格で、瞬く
間に庶民の定番ドリンクとなった。  

 チャーダー屋台は、今も人々が集まり、世間話や地域のニュースを語り合う場となっている。
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