不吉と疎まれる、かわいそうなカラス ベトナムの街で見かけない理由とは?

不吉と疎まれる、かわいそうなカラス ベトナムの街で見かけない理由とは?

ベトナムでは山間部などに生息
不吉な象徴として殺処分の過去も

 ベトナムに限らず、東南アジアの国々では街中でカラスを見かけることはほぼないが、厳密にいうとベトナムには「ハシブトガラス/Jungle Crow」、「ハシボソガラス/Carrion Crow」、「クビワガラス/Collared Crow」の3種が確認されている。基本的に山間部や河川敷、森林などに生息し、街にはやってこない。その上、古来からカラスは霊魂を運ぶ霊鳥とされ、「鳴き声が聞こえると人が死ぬ」という言い伝えがあり、カラスが騒いだり異様な声で鳴いたりするとその近くで死人が出ると信じられていた。そのため、昔はカラスを見つけるとすぐに追い払うか、殺処分していたようだ。

賢明さと社会性を兼ね備えた鳥
名前の由来は鳴き声だった

 高度な情報処理能力と学習能力、優れた視力を持ち、頭がよい鳥の代表格でもあるカラス。人間は光の三原色を組み合わせてものを見ているが、カラスの眼は4つの色を組み合わせている。環境への適応力も非常に高く、集団で行動するなど一定の社会性さえ持っていると知ると、そこまで悪い鳥ではないと思えてくる。

 ちなみに、日本語の「カラス」という名称の由来は、鳴き声を表現した「カラ」と、鳥を意味する古語「ス」だといわれている。英語では「クロウ/Crow」、ベトナム語では「クアー/Qua」と、外国でも鳴き声を模した呼び名が多いようだ。
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