メディカルトーク 乳幼児が発症しやすい「川崎病」 発熱が長引いたら、要注意

メディカルトーク

症例

2歳男児。発熱が数日続き、処方された抗菌剤(抗生物質)を内服したが、5日経っても解熱しないため受診。両親によると、目の充血がみられ、舌が普段より赤くなっていたという。

典型的な症状は6種類 子どもの症状を観察して

川崎病は、概ね4歳以下の乳幼児にみられ、全身の血管に炎症が起こります。典型的な症状は、高熱、目の充血、舌がブツブツと赤くなる、全身の発疹、手や足が腫れた後に指先から皮がむける、首のリンパ節が腫れる、の6つです。BCGワクチンを注射したところが赤く腫れることもあります。厄介なのはこれらの症状が全部、同時に出るとは限らないことです。そのため、子どもを診慣れた医師が症状を親から丁寧に聞き取らないと、診断がなかなかつかないことがあります。原因不明の病気ですが、日本人に多いことや、夏と冬に集中してみられることから、感染症的要因と遺伝的要因が関係しているのではないかと考えられています。

適切な治療で完治できるが 合併症を引き起こす可能性も

多くの場合、適切な治療を受ければ症状は数日で改善しますが、心臓の合併症「冠動脈瘤」には注意が必要です。冠動脈は、心臓に酸素を届ける血管で、冠動脈の血管壁が炎症によって弱くなると、その部分が膨らんでコブ(冠動脈瘤)ができることがあり、さらに冠動脈瘤が原因で心筋梗塞を引き起こすことも。治療にはアスピリンや免疫グロブリンなどが用いられます。日本人に多い病気のため、日本で治療や研究が進んでおり、私の場合は診断がつき病状が安定次第、日本の専門病院で治療が受けられるよう、日本と連絡を取り合って帰国を調整します。改善後も小学校に入学するまでの間は心臓の検査を定期的に受ける必要があります。
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