メディカルトーク 抗菌剤(抗生物質)は薬疹を引き起こすことも 薬の用途や必要性をよく理解し、内服を

メディカルトーク

症例

7歳男児。鼻水と咳がひどく38℃の発熱。自宅の抗菌剤を内服後、顔面と体にピンク色の湿疹が出現し受診。抗菌剤による薬疹と診断し、抗菌剤を止め抗アレルギー剤の内服で湿疹は改善。かぜ症状は無治療で治癒。

抗菌剤の内服で アレルギー反応が起こることも

今回の症例の場合、鼻水と咳、熱が認められたことから、「急性上気道炎(かぜ)」だと考えられました。急性上気道炎のほとんどはウイルス性ですので、一般に抗菌剤(抗生物質)は効かず、安静にするか、または症状を和らげる薬を内服していれば改善します。 薬疹は薬を投与された人のごく一部に起こるアレルギー反応で、抗菌剤だけでなく、血圧や不整脈の薬で起こることもあれば、ビタミン剤に含まれる成分で起こることもあります。皮膚や口の粘膜がただれるほど重症なケースもまれにあります。 かぜで辛い思いをした上に、不必要な抗菌剤を内服して薬疹が出た、まさに「泣きっ面に蜂」といえるケースです。

かぜは薬に頼り過ぎず、安静が最善策 内服薬の効能を自分で理解して

かぜに抗菌剤は効きません。症状の重い一部の副鼻腔炎や中耳炎、細菌性の肺炎や気管支炎など、抗菌剤が必要な疾患は限られています。 不要な抗菌剤内服は薬の効かない耐性菌を生み出し、内服したご本人が将来不利益を被ることになります。 どんな薬にも副作用がありますので、薬はできるだけ少なく服用するというのが基本です。欧米人の患者さんは、処方された薬や検査・処置について、その内容や必要性を細かく聞いてきます。自分や家族に行われる検査や処置が本当に必要なのか、複数の薬を本当に内服する必要があるのか、病院やクリニック任せにせず、自らチェックする姿勢が必要ではないでしょうか。
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