メディカルトーク おいしい飲食の後の辛~い腹痛、下痢…/暑い時期は特に、「感染性胃腸炎」に気をつけて!

メディカルトーク

症例

47歳男性が夕食に海鮮スープと刺身を食べた未明から嘔吐2回、水様便10回と腹痛があり受診。体温37.2℃、下腹部の膨満と圧痛を軽度認める。点滴と整腸剤、抗生剤の内服によって徐々に改善し、3日後には軽快した。

今回のドクター

東京インターナショナルクリニック 小林直之院長

① 「感染性胃腸炎」ってどんな病気?

ベトナムでは、衛生環境の違いから下痢が日常的に見られます。中でも、ウイルスや細菌によって引き起こされる胃腸症状を主とした症候群を「感染性胃腸炎」と呼びます。夏季にはサルモネラや赤痢アメーバ、腸炎ビブリオ、カンピロバクター、病原性大腸菌、腸チフス、赤痢、コレラなどが代表的です。

② どうやって感染するの?

水、食材、食器からのウイルスや細菌が口腔から消化管に入り、発症します。感染者の吐物、糞便、床やドアノブなどからも二次感染があります。

③ 場合によっては重症化することも

熱発や腹痛、下痢が最も見られます。多くは比較的軽い症状で治りますが、脱水や敗血症、ショック、腎不全を起こし重症化する場合もあります。食事や水分を摂れない、頻脈、口の渇き、尿が少ない、下血、意識消失、39℃以上の発熱、激痛などが現れたら重症化のサインです。早めに受診しましょう。

④ 感染したときの対応は?

ウイルス性なら整腸剤、吐き気止め、点滴などの対症療法が中心、細菌性なら抗生物質を投与します。下痢止め薬は最小限にしましょう。感染者への接触はなるべく避け、吐物や糞便の処理は使い捨て手袋などを用いて、汚染されたタオル類は廃棄を。学校や職場は便が有形になってから復帰しましょう。

⑤ 可能なら予防接種を心がけて

ベトナムは腸チフスの感染リスクが高くなります。予防にはワクチン接種がいいでしょう。また、乳児には生後7ヶ月までにロタウイルスワクチンの任意接種をお勧めします。食中毒予防のため、飲食店の衛生状況、手洗いや食器の洗浄に気をつけ、生ものは避けましょう。
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