ベトナムパペット劇場/クライマックスにふさわしい/吉祥を呼ぶ「四霊」たち Vol.13

Puppet_VNS_ED_201601_photo_001四霊は吉祥紋として、宮廷や寺社など様々な場所で装飾に用いられる。

公演の最後を飾る縁起もの

想像上の4頭の動物たちが戯れる「四霊舞踏」。それぞれ、応竜が権力を、麒麟が平安、鳳凰が幸福、霊亀が長寿を象徴し、通常、公演の最後に披露することで、ベトナムと観客全員に幸福が訪れるよう祈る意味合いがある。

4頭の動物たちの動きに注目!

演目では、まず霊亀と鳳凰が登場する。甲羅に繊細な模様が描かれた霊亀は、長寿と社会の平安を表し、ゆっくりと安定した動きが特徴だ。 カラフルな配色の鳳凰は、2つの目が太陽と月、背中が空など体で宇宙全体を表し、鳳凰が舞う時に宇宙が躍動して循環するとされた。大きな翼を広げ、首を上下に伸縮させながら優雅に移動する。 やがて、麒麟と応竜も登場。赤く塗られた麒麟は、獅子舞の獅子とよく似た外見で怖モテだが、植物しか食べない優しい性格。忠誠心があつく、災厄を防ぐとされた。舞台では頭を上下に揺らしながら活発に動き回る。 かつて王の象徴だった応竜は、全身が金色に塗られ、蛇のように素早く体をくねらせながらも、凛々しい頭は水上に保ったまま。劇場によっては口から火や水を噴出することもある。 霊亀の安定感、鳳凰の優美さ、麒麟の活気と応竜の威厳が一体感を生み出したところでクライマックス。動物たちの代わりに操作していたスタッフが登場して挨拶をし、観客は聖なる動物が舞う舞台から現実へと帰ることになる。

Puppet_VNS_ED_201601_photo_002ハノイの鎮武観(Den Quan Thanh)内の扉。足元の亀や頭上の竜など四霊が刻まれている

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