ベトナムふしぎ発見!/水たばこ「トゥオックラーオ」は 北部数百年の大人のたしなみ?

北部の山岳地帯や中北部で 栽培されているタバコ植物の一種

水たばこで吸う「トゥオックラーオ/Thuoc Lao」は、学名マルバタバコ(Nicotiana Rustica)。中国・漢の時代にアイラオ(Ai Lao/哀牢、現ラオス)から伝わり、ベトナム語では「ラオスたばこ」=トゥオックラーオと呼ばれる。 紅河デルタから中北部のデオガン(Deo Ngang)峠までの地域で栽培され、当初は風邪や、死んだ人や動物の遺体、悪霊の毒気が引き起こす病気が治せると信じられ、北西部の山岳エリアやタインホア(Thanh Hoa)省西部の少数民族によく用いられてきた。現在はキン(Kinh)族とムオン(Muong)族に人気で、ハイフォンやタインホア省産が有名だ。

別名は「恋わずらい草」 強くて中毒になりやすい

吸うのに使う水パイプは長さ40〜60cmほどの竹やアルミ製だ。タバコを火口に入れ、火をつけながら煙を吸い込み、吐き出す。ハノイの路上ではお茶を頼めば無料で吸える店が多い。 「あの人を想うのはトゥオックラーオのよう、タバコを埋めてはまた掘り返す」(Nho ai nhu nho thuoc lao, da chon dieu xuong, lai dao dieu len.)と詠われ、1度はまれば抜け出しがたいことから「恋わずらい草/Tuong Tu Thao」と呼ばれた。 昔は客人に必ず水たばこを勧めたように、北部で数百年にわたり親しまれているトゥオックラーオ。だがニコチン量が多く中毒性は高い。試すのはほどほどに。
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