メディカルトーク/第88回 子供に多い夏の風邪、/ヘルパンギーナ

メディカルトーク症例

3歳の女児が39度の発熱と口内の痛みのために来院。咽頭の炎症と上あごに水泡を認め、ヘルパンギーナと診断した。口内の疼痛により食欲が低下していたため、水分を十分摂るように指導し、自宅安静にて数日で症状は改善した。

今回のドクター

白井拓史医師/ロータスクリニック
①夏風邪、ヘルパンギーナって? ヘルパンギーナとは、主に乳幼児や子どもがかかる「夏風邪」の一種で、コクサッキーウィルスやエコーウィルスといった腸管ウィルスが原因です。感染経路は、咳やくしゃみで飛び散ったウィルスを吸い込む飛沫感染、便に排泄されたウィルスの経口感染が多く見られます。原因となるウィルスが数種類あるので、1度かかっても再びかかることがあります。 ②乳幼児がかかりやすい 最もかかりやすい年齢は1~5歳で、潜伏期間は2~5日程度。症状としては、38度以上の高熱、関節痛や倦怠感があります。喉の痛みを訴え、喉・口蓋垂の炎症が見られます。口腔内に水泡や水泡が破れて口内炎のような潰瘍ができるのが特徴です。 症状を訴えられない乳幼児の場合は、不機嫌になりミルクや母乳を飲まなくなります。 ③こまめに水分摂取 ヘルパンギーナには、予防接種はありません。治療は、それぞれの症状に対する治療を行う「対症療法」が基本となります。口内の痛みのために水分が摂取できず脱水症になることがありますので、水分は少しずつこまめに補給しましょう。 幼児で水分摂取が難しい場合、氷をなめさせて水分をとらせる方法もあります。脱水がひどい時は輸液を行うことも。高熱で体力が奪われているようであれば、解熱剤を使用します。 ④無理のない程度に少しずつ食事を 痛みのため、食べる量が減りがちです。柔らかいもの、薄味のもの、刺激の少ないものを少しずつ食べさせてあげましょう。お粥や豆腐、スープ類、ゼリーやアイスクリームなどがおすすめです。便からも感染するので、おむつ交換の後は手洗いをしっかりして下さい。解熱して元気になったら、登園・登校して構いません。
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