ベトナムのこんな法律/結婚と財産のリスクは愛のリスク?

ベトナムのこんな法律日本人とベトナム人の結婚や、当地で婚姻登録した日本人同士に、ベトナム法が適用されることがあります。 結婚前から夫もしくは妻が所有していた財産を「個人財産」、結婚後に夫婦が均等に所有する財産を「共有財産」と言いますが、この区別が意外と厄介。しかも実際に夫婦間で争いが生じた場合、個人財産との立証ができない限り、原則として共有財産であると推定されてしまいます。 例えば結婚前から預金を保有していた夫が結婚後に失業し、仕事を続けた妻が家計を支えつつその収入で住宅を購入したとします。この場合、原則、預金は夫の個人財産、住宅は共有財産です。夫が友人の事業を支援するために結婚後、妻に内緒で借りたお金は夫の個人債務となりますが、債権者は預金および住宅はもちろんのこと、妻が個人財産だと立証できなかった他の全財産にも強制執行をかけることができます。 一方、この夫婦が離婚する場合、住宅は財産分与の対象ですが、預金は対象となりません。しかし夫が死亡した場合、住宅持分の半分は妻に、その残余持分および預金は妻・親・子で完全に均等に分配されることになります。 まあ、愛のリスクから夫婦間で個人財産を明確化しておくべきだと考えるのは、弁護士特有の病かもしれませんね。
野口 真吾 のぐち しんご 慶応義塾大学卒、第二東京弁護士会所属。邦内法律事務所にて一般企業法務、M&A、金融、知財、倒産から紛争解決まで幅広く担当。現在、韓国系最大手のJ&P LAW GROUPに参画、日系企業をフルサポート。
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