
1805年、ザーロン帝により創建。1833年にミンマン帝が拡大・移築した。「太和殿」という名称は陰陽思想に基づき、調和を表す
太和殿 
輝く玉座、ここにあり
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屋根の中央に据えられた壷は、仏教の観音菩薩(かんのんぼさつ)が持つもの。菩薩の恵みが行き渡るようにという願いが込められている |
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(左)玉座や天蓋などが輝く様子からは、ここが王宮内で最重要の場所だったことがわかる。うしろの部屋には往時の王宮を再現した模型がある
(右)玉座を注意深く観察すると、その背や肘掛けの先端部分に龍が見える。まさに龍(=皇帝)づくしの1品だ |
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漁「あら、こっちはあんまり人気(ひとけ)のねえところで」
帝「そう。旧暦1日と15日、テト(旧正月)の儀式限定で、この太和殿を使ったのだ」
漁「儀式?儀式ってどんなふうなんで? 興味ありますな、一市民として」
帝「この前庭は3段になっておる。予を前にして、1段目には一位から三位まで、2段目には四位から九位までの官吏が並ぶというわけだ。3段目には、フエ近在の村の有力者が並ぶ。両側にある小さな石が、官吏の立ち位置の目印になるのである」
漁「きれいに並んで、見栄えのしそうな儀式で。うん?この庭、犬もいるんですな」
帝「犬などではない。霊獣、麒麟(きりん)である。ここを通る者すべてを監視するのだ」
漁「内部もスゴい。柱には中国風に、龍と雲の絵ときた。でも床はそれっぽくないような」
帝「幾何学模様だろう?1899年、従来のバッチャン(Bat Trang)焼き(ベトナム北部の伝統的な焼き物)から、フランス製のタイルに変更されたのである」
漁「あっちの椅子はいいですなあ。キラキラ光っとるもん。1度座ってみたいですねぇ」
帝「絶対ダメ。あれは皇帝だけが座れるところ、玉座である。その背後の扉から、予が太和殿に入るのだぞ」
漁「『じゃじゃん、皇帝さまのおなぁりぃ〜』ってわけですな、ふむ、カッコよい」 |