サパの町を行く黒モン族。濃紺の衣装に身を纏い、脚半を巻いたいでたちが、どことなく昔の日本を彷彿とさせる。
世界各国からやってきた旅行者たちがそぞろ歩くカウマイ通り。その目抜き通りの中ほどで、濃紺の衣装を纏い、編みかごを背負った少女たちが、話に花を咲かせている。かごの中には、観光客へ売り歩く手織りの布がぎっしり。ここはベトナム北西山間部、ファンシーパン山脈の中腹に位置するサパの町。標高約1600mの高地に吹く爽やかな風が、色とりどりの刺繍で飾られた衣装をそっとなでていく。
ベトナムは黒モン族、赤ザオ族をはじめ、タイ族、ヌン族など、54の民族から構成されており、サパ近郊は、国内でも特に多くの民族が集まっている地域。しかもそれぞれが独自の言葉を持ち、ひとたび村へ足を踏み入れると、ベトナム語すら通じにくくなるほどに、各民族の文化が守られている。そして、そんな彼らの幾つかは、今も藍染めの衣に身を包み、日々の生活を送っている。
目指すラオチャイは、サパの町からジープで揺られること約15分。周辺地域に住む少数民族の約半数を占めるといわれる、黒モン族の村だ。黒モン族は、数ある少数民族の中でも、藍染めの布地に色鮮やかな刺繍を施した衣装で、サパを訪れる旅行者に最も親しまれている民族のひとつ。山の斜面に波打つように棚田が連なる、それは美しい光景の先に、彼らの村はあった。
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サパ トラベルイオンフォメーション
スケッチトラベルで行く
少数民族と霧の町サパ週末3泊4日の旅
(2005年7月7日 木曜日 9:34JST更新) |