第3章 1年間、ただひたすら待つだけ
工場に一歩足を踏み入れると、林立する高さ3メートル近くある木の樽が目に飛び込んできた。そしてヌックマムの匂い。工場の中は蒸し暑い。外ではジリジリ肌を焼く強い陽射しが降り注いでいるというのに、外気に触れると涼しく感じるほどだ。どっと汗が噴出す。
「どうだ、暑いだろう。これはヌックマムの熟成を進めるために、わざとそうしているんんだよ。」とトイさん。屋根は、涼しい茅葺ではなく、熱を吸収しやすい石膏。そして天井は作らず、屋根に降り注ぐ太陽熱が、そのまま屋内に入ってくるようにしているのだという。
工場の中には人影がない。美味しいヌックマムを作るために、熟練の職人達がせわしなく働いている光景を予想していた私は、戸惑った。「ワハハ、どうして働いている人がいないのかって。ヌックマムは、樽の中に魚と塩を入れておけば、後は1年間待つだけで良いんだよ。」フンタン社には約200個のヌックマム用の樽があるが、働いているのは家族を中心とする10人足らず。それだけで間に合うのだと、トイさんが教えてくれた。
←前のページ | 次のページ→
フーコック島への旅(SketchTravel)
このページを友だちに知らせる 『answerasia ベトナム版』ベトナムに関する質問をベトナム在住者やみんなで解決。 日通ペリカントラベル・ベトナム支店【クレジットカード決済】
ベトナム旅行スケッチトラベルベトナム(格安ホテル予約・航空券・日本語ツアー) ベトナム発カンボジア旅行・アンコール遺跡の旅【ホーチミン発・ハノイ発】 カンボジア旅行スケッチトラベルカンボジア