<ベトナム芸能界珍道中>
愉快・痛快・ウキウキ★SAKAI
最終話:俺はベトナムと日本の架け橋になる!
ドクさんの結婚式は2006年12月に行われた。会場はテレビカメラで埋め尽くされ、出席者は約500名にのぼった。ただ残念なことに、ドクさんの兄ベト(Viet)さんは脳症の為に出席できなかった。
大きな拍手で迎えられて新郎新婦が入場。ベトナム人医師、日本人医師の挨拶、ケーキカット、乾杯という流れで開宴した。各席にロウソクが灯され、お色直しがあり、歌手やダンサーのステージが始まった。
俺達「シクロ」がステージに呼ばれたのは最後だった。祝福の意味を込め、シクロの定番ラブソング「オエオ/O・E・O」と「ナンバーワン/No.1」を披露。今度は会場が、
「エオ!オエオ!!」
の掛け声で盛り上がりまくり、2人も喜んでくれたようだ。
式が終わった後、彼は俺達にこう話してくれた。
「結婚までは本当に大変だったよ。障がいを理由に結婚にも反対された。それでも、みんなが支えてくれたから乗り越えられたんだ。幸せになるように2人で頑張るよ」
日本へ戻る飛行機の中で、俺はいろいろと考えていた。ベトナムではドクさんをはじめ障がいに悩む人が大勢いる。俺1人だと限界があるが、人々の協力が得られれば…。
俺は帰国してすぐ、地元・気仙沼の有力者たちに相談した。運の良いことに気仙沼市は「非核平和都市宣言」をしており、とても好意的に受け入れてくれた。市長も、市をあげて協力したい、と言ってくれた。
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