ベトナム旅行に行く前にちょっとみるベトナム情報サイト | ベトナム旅行手配 | 空港 | ベトナム地図 | ベトナムディレクトリ | |
|
||||||||||||||||||||||
|
|
コンサートの間もそればかりがグルグルと頭の中を駆け巡り、おかげで俺はうっかり楽屋に自分の携帯電話を置いてきてしまった。 携帯電話は日本と連絡が取れる大事なモノ。監禁状態の日々の中で唯一それが心のオアシスだった。 コンサートが終わって帰宅した際、携帯電話を忘れてしまったので取りに戻りたいと師匠に懇願した。 だが、「日本と連絡を取るヒマがあるなら、もっと練習しろ」と言われただけだった。 今になって考えてみれば正論なのだが、当時の俺はそれどころではない。 師匠が寝静まった早朝5時。俺は携帯電話を取り戻すため、師匠邸からの脱出を試みた。 俺の部屋は3階。1階まで降りてシャッターや鉄格子の自動ドアを開けることは不可能だと判断した俺は、高さ7〜8メートルはある2階のビリヤード場から飛び降りた。 あまりの足の痛みにうずくまった。両足を痛めたらしい。だが、急がないと見つかってしまう。俺は足を引きずり、痛みに耐えながら鉄格子に足をかけた。 鉄格子を登りきり飛び降りようとしたら、自慢の青いTシャツの裾に鉄格子の先が引っかかり、背中の部分からTシャツはビリビリに。俺のお気に入りのTシャツが・・ 俺の怒りの矛先は師匠に向かっていた。もうなりふり構っていられない。俺は破れたTシャツ姿でコンサート会場に向かった。 午前6時になろうという頃、コンサート会場に到着し、楽屋に入る。 ない、ない、どこにもない。 掃除のおじさんに聞いたら、「携帯なんて忘れたらすぐに盗まれてしまうだろ」 虚無感いっぱいで俺は納得できなかったが、しぶしぶ師匠邸に戻るしかなかった。 (2007年5月号/2007年5月25日 金曜日 10:36 JST更新) |
|
Powered by |