＜ベトナム芸能界珍道中＞
愉快・痛快・ウキウキ★SAKAI
第5話：焦り、監禁、脱走…。破門の危機?!

☆前回までのあらすじ☆
大の魚嫌いのSAKAIは、師匠ゴック・ソン(Ngoc Son)のコンサート会場巡りに同行しつつ、師匠の好きな魚料理責めと深夜ダンスレッスンに堪える。そのかいあって、師匠にもやっと認められ始めたように思えたのだが…。

　ゴック・ソンの内弟子となり数日。俺はダンスお披露目の場として、時々師匠のステージにバックダンサーとして出演するだけの毎日を過ごしていた。

　そんなある日、いつものようにコンサート会場に向かう車からぼんやりと外を見ていると、1枚の街頭ポスターが目に入った。

　なんとそのポスターには、あのWADAがベトナムの人気アイドル「ダン・チューン/Dan Truong」と一緒に載っていたのだ。俺がゴック・ソンの元で修行している中、WADAはスターへの階段を一足飛びに駆け上がっていたように思えた。

　俺はやっと師匠と一緒にステージに上がることを許されたばかりなのに、WADAは俺よりずっと前を走っていた。魚が嫌いだとか、ダンスレッスンが大変だとか言い訳ばかりしている自分自身に腹が立った。

　内弟子生活3ヶ月が過ぎても、俺は未だステージで踊るだけで、歌わせてはもらえなかった。

　地味なダンスレッスンとコンサート会場巡りばかりしている俺。外出は危険だからと一切許されない日々。まるで師匠に監禁されている状態だ。

　そして歌手になるためにベトナムに来たのに、ダンスしか教えてくれない。いつになったらステージで歌えるようになるんだ？

「俺は早くステージで歌いたいのですが…」

　コンサートに向かう車中、勇気を出して師匠に聞いてみた。

　すると師匠は、「SAKAI、キミ、ダンサー、イイデス。ニネン、イイダンサー」

　2年で良いダンサー？　やっぱり俺を歌手にするつもりはないんじゃないか!?

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（2007年5月号／2007年5月25日 金曜日 10:35 JST更新）