大気汚染の影響と対策 ベトナムで健康を守るために

大気汚染の影響と対策 ベトナムで健康を守るために
症例
50代男性、風邪で医療機関を受診後も咳と痰が2週間以上続き来院。喫煙歴なし。胸部レントゲン検査。気管支炎にて鎮咳去痰剤と抗生剤を2週間処方した。大気汚染の影響も考え、マスク着用や空気清浄機使用を勧めた。

大気汚染が体に与える
深刻な健康リスク

ベトナムの大気汚染は深刻です。汚染された空気を吸い込むことで、咳・痰・鼻水などの呼吸器症状や、目のかゆみ・充血、アトピー性皮膚炎などの皮膚トラブルを引き起こすことがあります。

空気中には様々なサイズの粒子が含まれており、大きな粒子は気管・気管支に、小さな粒子であるPM2.5は肺の奥深く(肺胞)まで到達します。

これにより、気道や肺に炎症を引き起こすだけでなく、血管にも影響を与えることが知られています。

その結果、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の悪化、肺がんや心筋梗塞などのリスクが高まる可能性があります。とくに成長中の子どもへの影響が懸念されます。

大気汚染から身を守る
効果的な対策方法

大気汚染から身を守ることは重要ですが、簡単ではありません。まず、外出時は長時間の運動や徒歩移動を避け、できるだけ車を利用しましょう。また、外出時はマスクを着用し、帰宅後はうがいや手洗いを徹底することが大切です。

室内環境を整えることも有効な対策の1つです。外気との換気は必要最低限に抑え、空気清浄機を活用しましょう。

また、居住する場所は、幹線道路から離れていることが望ましいとされています。レジデンスを探す際には、この点を気に留めておくと良いでしょう。

咳や痰などの呼吸器症状が続く場合は、早めに医療機関を受診し、適切な対応を取ることをおすすめします。

Information

ラッフルズメディカル・
ホーチミン市
西條 康夫医師
(総合診療、呼吸器、腫瘍内科)

新潟大学医学部卒、東北大学で博士号取得。腫瘍内科教授を務め、腫瘍学・呼吸器内科の専門家。2024年よりラッフルズメディカルホーチミン市で勤務
ウェブサイト:rafflesmedical.vn
関連記事
Related Articles
痛い帯状疱疹、ワクチンで予防が可能 ワクチンで認知症予防の報告も!
2025.07.20

痛い帯状疱疹、ワクチンで予防が可能 ワクチンで認知症予防の報告も!

世界平均の5倍!ベトナムのインフルエンザにご注意を
2024.01.20

世界平均の5倍!ベトナムのインフルエンザにご注意を

何もしていないのに起きる歯の痛み過度な噛み合わせや食いしばりに注意
2023.07.15

何もしていないのに起きる歯の痛み過度な噛み合わせや食いしばりに注意

脳卒中は、4時間以内の治療が肝要 緊急時に対応できる準備を
2023.06.19

脳卒中は、4時間以内の治療が肝要 緊急時に対応できる準備を

メディカルトーク 取れにくい子どものオレンジの歯垢 歯磨きの最後は「ぶくぶくうがい」を
2022.01.19

メディカルトーク 取れにくい子どものオレンジの歯垢 歯磨きの最後は「ぶくぶくうがい」を