ミラノで見たもう1つのキーワードは 鮮やかな「ピグメント」

ミラノで見たもう1つのキーワードは 鮮やかな「ピグメント」

No.064 ピグメント

今月も2023年4月から開催された「ミラノデザインウィーク」からのトレンドレポート続編をお届けします。

 7月号でご紹介したキーワード「ウィムジカル/Whimsical」(=奇抜な)に引き続き、もうひとつの気になるトレンドのキーワードは「ピグメント/Pigment」(=顔料)です。これまでの禁欲的な色彩やスモーキーがかったアースカラーから一転、2023年のミラノでは一気に鮮やかな色使いが目立っていました。

 色のみで何かを表現する手法は、はるか古代から続く、いにしえの表現手法です。色が質量を持ち、単なるモノの付帯要素ではなく、それ自身がデザインとなるのです。今回の展示会では配色の美しさが際立っていました。

 これまでも不景気な時には地味で落ちついた色が流行り、景気が良い時には赤などの鮮やかな色が注目されてきました。長く続いたコロナ禍が終わり、閉塞感から解放された喜びが色にも表れていました。有名なファッションストリートのモンテナポレオーネ通りのディスプレイでは、例年より鮮やかな配色の組み合わせが多数見られ、街にも一段と活気が戻ったようなエネルギーを感じとれた今回のイベントでした。

 そんな時代の雰囲気を感じとり、今年はファッションにも鮮やかな色を取り入れて、前向きに過ごしていきたいですね!

Information

田岡 道子
Taoka Michiko

カラースタイリスト、カラーデザイナー。DICカラー&デザイン社を経て独立。大学・専門学校等での講演、美容雑誌への寄稿多数。PPGタイランド社のオートバイ新色カラーショー、トヨタ自動車の色彩調査を担当。現在は世界各国を飛び回り活動中。著書に『COLOR OF LIFE 〜色を生活に取り入れよう〜』(税務経理協会)、『色で魅せる』(青月社)、『カラーコーディネーターになるには』(啓林書房)など。
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