人によって異なる「色」の見え方/大切な情報が伝わっていないことも

人には先天的・後天的に様々な色覚があり、色の見え方は誰一人として同じではありません。例えば日本人男性の20人に1人(=5%)には、赤と緑の区別がつきにくい「色弱」の色覚特性があります。赤と緑を区別する色使いは、20人中19人に合わせているに過ぎません。そういった区別の必要がない色使いなら、全員が色の識別に不便を感じなくなります。 誰もが認識できる色使いを「カラーユニバーサルデザイン/CUD」と言います。色は見る人の心を動かすと同時に、情報を整理し強調することで、より分かりやすく効果的に伝える力もあります。 電車の案内図・時刻表、ごみの収集カレンダー、天気予報の地図、ホームページ、家電製品・OA電子機器のランプなどには、たくさんの色が使われています。ところが色の組み合わせによっては、かえって情報が伝わりません。間違いや勘違いを起こす、そこに情報があることすら気がつかず、ときには危険な目に遭う「色彩情報の弱者」が生まれます。 情報が伝わらない大きな理由は、「色はみんなが同じように見えている」という前提です。実際には、見分けやすい色と見分けにくい色は人それぞれ違います。色彩情報があふれる今、色覚の多様性を理解し、すべての人に分りやすい「人にやさしい色づかい」が求められています。
田岡 道子 Taoka Michiko カラースタイリスト、カラーデザイナー。DICカラー&デザイン社を経て独立。大学・専門学校等での講演、美容雑誌への寄稿多数。PPGタイランド社のオートバイ新色カラーショー、トヨタ自動車の色彩調査を担当。現在は世界各国を飛び回り活動中。著書に『COLOR OF LIFE 〜色を生活に取り入れよう〜』(税務経理協会)、『色で魅せる』(青月社)、『カラーコーディネーターになるには』(啓林書房)など。
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