第252回 自分で考え行動する体験型教育を アジアの子どもたちに発信したい

第252回  自分で考え行動する体験型教育を アジアの子どもたちに発信したい

二瓶 彩菜 さん
「エニハピテックワールドオンライン」代表

自立心や行動力を育んだ
地元・福島県での教育
ベトナムを拠点に子ども向けのオンラインプログラミング教室「エニハピテックワールドオンライン」を運営する二瓶彩菜さん。自分で考え、実現することの楽しさを子どもたちに伝えたいという思いは、自身が小・中学校時代に体験した教育が根底にある。

「私が通っていた福島県三春町にある岩江小・中学校は、自由と自立を校訓に子どもたちの主体性を引き出す教育が特徴でした。校則やチャイムがなく、修学旅行の宿泊先を生徒が予約するという取り組みや『24時間遊び続けるキャンプ』など、生徒がやりたいことを実現させてくれる環境でした」

 大学卒業後は営業職に就いたが、福島県が東日本大震災の被害を受けたことが大きな転機になった。
「悔いのない人生を、と模索していく中で、自身の原点は小・中学生時代に受けた教育だと気が付きました。まずは子どもたちと直接関わる仕事をしようと教育者にキャリアチェンジしたんです」

プログラミングは
世界に繋がる手段

 自身が受けた教育に似た教育方法がオランダには数多くあることを知り、その教育現場の視察を決行。現地の小学生がフランスについて学ぶ際、iPadでフランスの小学生と繋がり、交流する姿に感銘を受けた。

「日本の学校でも諸外国の文化について学ぶ機会はありますが、オンラインという手段があるにもかかわらず、子どもたちが直接交流する機会はほぼないですよね? そこで、アジアの子どもたちを繋げ、世界を広げる仕組みを作りたいと考えました」

 信頼する人にベトナムを勧められ、実際に訪れて人々の温かさに触れたことをきっかけにベトナムでの起業を決意。ハノイとホーチミン市でテストマーケティングを行った後、日本人が行う教育への関心がより高いハノイを拠点に選んだ。

「当初は体験型アフタースクールとして日本の学童保育と繋ぎ、子どもたちを交流させていました。中には端末を使わせたくないという親御さんもいましたが、最近はその潮流が変わりつつあり、コロナ禍でも継続できるオンラインに特化したプログラミングスクールを行っています。現在の生徒は、ベトナム、日本、マレーシア、インドネシアに住む子どもたちで、主に『ビスケット/Viscuit』というビジュアルプログラミング言語を使用して作品作りをしています」

 プログラミングは子どもたちにとって世界に繋がる手段であり、思い描いたものを表現するためのツールだと考えている。

「最近はユーチューブ(YouTube)に興味のある子どもの表現手段として動画制作やウェブサイト制作講座も開始しました。“ティーチングではなく、コーチング”。他者から与えられるだけでなく、自分で考えて行動できる場所を子どもたちに提供していくことが私の情熱です」

Information

二瓶 彩菜 にへい あやな

福島県出身。日本で民間企業やNPOでの教育経験を経て、2018年に「アジアエデュケーションラボ」を設立。ベトナムに移住し、「エニハピテックワールドオンライン/Anyhapi Tech World Online」を経営。キッズプログラミング講師養成講座も開講し、自宅起業・副業支援を行う。
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