メディカルトーク 皮膚の弱い子どもだけでなく大人もかかる 「伝染性膿痂疹(とびひ)」

メディカルトーク

症例

8歳女児。運動で汗をかき、首にあせもができた。かゆくて掻いていたら傷になった。自宅にある軟膏を使用したが、全身にじくじくとした傷が広がり受診。伝染性膿痂疹の診断で抗生物質の治療とし、速やかに軽快した。

汗をかきやすいベトナム 汗疹や虫刺されには要注意

伝染性膿痂疹は、いわゆる「とびひ」の正式病名で、細菌による皮膚の感染症です。汗疹、虫刺され、湿疹などを引っ掻くことによってできた傷や転んでできた傷に、ブドウ球菌や溶連菌などの細菌が感染をして発症します。かゆみがあり、じくじくとした傷やかさぶたのついた傷が特徴的です。傷からしみ出てくる液(浸出液)を触るなどの接触を介して、傷が全身に広がることも珍しくありません。   皮膚の弱い子どもがなりやすいですが、大人でもかかることがあるので油断は大敵です。特に、ベトナムの暑い時期の生活は汗をかきやすいため、小さな子どもから大人まで、幅広い年齢層の人がかかっている印象です。

通常の抗生物質では効かない菌も 困ったときは医療機関を受診して

予防としては、汗をよく洗い流すなど、皮膚を清潔に保つことです。もしとびひになった場合、患部は泡立てた石鹸で優しく洗い、洋服に直接触れないように、ガーゼなどをあてましょう。また、治療は抗生物質の内服および軟膏が有効です。自宅にある軟膏や内服薬を使用したのに改善せず、受診されるケースもあります。とびひの場合、ステロイド軟膏は悪化の原因にもなってしまいます。最近は通常の抗生物質では効果が出ない多剤耐性菌も増えていて、抗生物質の選択や内服期間は注意を要します。   発疹や皮膚トラブルを起こす疾患はさまざまなので、とびひに限らず困った時は医療機関を受診し治療するようにしましょう。
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