竹森美佳 さん/「アジア工芸社」代表

伝統文化や環境に配慮したモノづくりを通して 持続可能なライフスタイルを守りたい

時を経て味わいが増す手仕事品 ベトナムクラフトの魅力を伝える 学生時代からアジアの雑貨や工芸品が好きで、旅行や仕事でもベトナムなど東南アジアを訪れる機会があった。 「ベトナムは2006年、旅行でダナンに来たのが最初でした。ベトナムの印象はとても良かったですね。ごはんはおいしいし、人懐っこくて温和だし。まさかその時は、後にハノイで暮らすことになるとは夢にも思っていなかったです」 2010年から2年間の青年海外協力隊としての活動を終えて、本格的なハノイ生活が始まったのは2014年8月だった。 「日本でカフェショップをやってみたいなと思っていた時期に、ハノイでカフェの立ち上げをやってみないかという話があって。採用された後は店舗運営のほか、お土産品の開発などにも携わることができ、とても良い経験になりました」 その後、ベトナムの伝統工芸品に関わる仕事に集中しようと思い立ち、2018年12月、ベトナムの手工芸品を日本向けに販売したり、雑貨の企画製作、リサーチなどを行う「アジア工芸社」をハノイで設立した。 「学生時代にフェアトレードのサークルを学内で立ち上げるなど、海外の生産者との協働に興味がありました。ベトナムの職人たちが持つすばらしい技巧に魅せられ、その伝手を生かして大好きな工芸品を、自分が思うように手掛けてみようと決めました」 自社ブランド「アンテ」が好調 日本中心から、現地販売も視野に 「アジア工芸社」では、ベトナムの職人が手仕事で仕上げた織物や染物、刺繍などをあしらった洋服やアクセサリーの自社ブランド「アンテ/ante」を抱えている。デザインは竹森さんが自ら行い、職人と相談しながら細部にまでこだわって製作している。 「お互いにこだわりが強くて、時々職人とぶつかることもありますが(笑)。でもそこは納得し合えるところまでがんばって交渉して、そして実際に私が着てみて、気に入ったらそれを販売するようにしています」 今回の取材時に竹森さんが着ていた服(写真)も同ブランドのものだ。 「今日着ているような、少数民族による独自のテキスタイルが美しい布をあしらった洋服が人気ですね。購入した方から喜びのメッセージをいただいたり、中にはオリジナル製品を発注したいと問い合わせをいただいた時は本当にうれしかったです」 現在、同ブランド製品は日本でのみ購入できるが、今後はベトナム国内でも販売したいと考えている。 「ベトナムの手工芸品は本当にすばらしいものばかり。機械化がすすむ中でも、手仕事でしか出せない味わいのあるものを未来に残せたら。今後はベトナムの方たちにも興味をもってもらえるブランドを立ち上げるなど、新しいことにも挑戦していきたいです」
竹森美佳 たけもりみか 埼玉県行田市出身。2018年12月に「アジア工芸社」を設立。2019年7月には初の単著となる旅本『食と雑貨をめぐる旅 悠久の都ハノイへ』が出版された。現在は、ベトナムの手工芸の本の出版に挑んでいる。 intergram: @ante.vn ウェブサイト:www.asiakougeisha.com
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