メディカルトーク マザーキラー! 「子宮頸癌」は ワクチンで予防できる数少ない癌

メディカルトーク

症例

34歳女性。妊娠を機に産婦人科を受診、進行した子宮頸癌と判明。早急な治療が必要なため28週の早産で児を帝王切開で出産(1300gの未熟児)、同時に子宮全摘術を施工し現在は放射線治療中。

性交渉によるウィルスが原因 進行する前の早期発見が大切

子宮癌には、子宮の奥に発生する「子宮体癌」と、子宮の入り口にできる「子宮頸癌」があります。子宮頸癌は20~40代の若年女性に多く、出産年齢と重なることから“マザーキラー”とも呼ばれ、日本では年間1万人が罹患し3000人が命を落とします。HPV(ヒトパピローマウィルス)の感染が関与しており、1度でも性交渉の経験があれば誰でも罹患する可能性があります。 進行すると不正出血や腰痛などの症状が見られることがありますが、初期症状はほとんどなく、検診による早期発見が大切です。子宮頸癌の前癌病変(前段階)である子宮頸部異形成の状態で発見できれば、子宮の入り口を切除する円錐切除やレーザー治療で子宮を温存できる可能性が高いです。

子宮頸癌は予防できる 中学生までにぜひワクチン接種を

子宮頸癌に進行してしまうと、子宮全摘手術、抗がん剤、放射線などの非常に負担の大きい治療が必要となります。そのため、①最低2年に1回の子宮頸癌検診 ②子宮頸癌ワクチンによる予防が重要です。 子宮頸癌ワクチンは、性交渉経験前の接種が理想的で、小学校高学年〜中学生での接種が望ましいです。日本は先進国の中で著しく接種率が低く問題視されており、思春期のお子さんへはぜひ接種をお勧めします(それ以降の方もHPVに感染していなければ予防効果があります)。 当院では日本で接種されているガーダシル(Gardasil)という注射が可能です。予防できる数少ない癌なので、積極的な接種をお勧めします。
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