ベトナムの今がよくわかる/ベトナムニュース解説9月号

2020年の最低賃金、 5.5%引き上げ

国家賃金審議会は2019年7月11日、月額最低賃金を現行より5.5%(15万~24万VND[約750~1200 円])引き上げることで合意した。 審議会の議長を務めたドアン・マウ・ディエップ(Doan Mau Diep)労働傷病兵社会福祉省大臣によると、現行の最低賃金水準は、労働者とその家族の最低生活水準の95%以上を満たしており、5.5%引き上げることで、最低限の生活水準を確実に満たせるようになる。 (Tuoi Tre 7月12日, P. 3)
解説 この時期の重要イベントとして、ベトナム社会にすっかり定着した感のある、来年の最低賃金を確定するための会議。 今年は前年(5.3%)並みの引き上げ水準となりましたが、経済が順調な一方で、物価上昇が落ち着いていることなどが、大きな労使対立もなくスムーズに決まった要因ではないかと考えられます。 改定案が政府承認されれば、2020年1月1日から最低賃金は、▽第1地域:442万VND(約2万2100円):24万VND増、▽第2地域:392万VND(約1万9600円):21万VND増、▽第3地域:343万VND(約1万7150円):18万VND増、▽第4地域:307万VND(約1万5350円):15万VND増となります。 記事では、現行でも最低限の生活水準の9割以上をまかなえているということですが、次の引き上げにより最低限の生活水準を十分に満たす賃金を確保できたとしても、それ以降も労働者の生活水準や経済・社会指標に応じて最低賃金を調整していくということですから、経済成長が続く限り、賃金上昇も続くものと考えられます。

政府がe-Cabinetを導入、 会議時間を30%削減

ベトナム政府は2019年6月24日、電子閣議システム「イーキャビネット/e-Cabinet」を正式に導入した。マイ・ティエン・ズオン(Mai Tien Dung)政府官房長官によると、このシステムの導入により閣議の時間が30%削減され、資料用の紙も不要となり大きな時間とコストが削減できる。このe-Cabinetは、会議用の文書アップデート、資料の保管・管理、会議、意見提出、草案修正、電子決議など様々な場面で活躍する。 (Tien Phong 6月24日, P. 2)
解説 世界的なトレンドにあわせ、ベトナムも行政の様々な場面でIT化を強化しています。 このe-Cabinetは、オンラインで政府の会議や業務ができるシステムであり、関係者からの意見集約なども簡単にできるそうです。会議の現場に行かずとも意思表明等ができるため、会議の時間や費用の節減ばかりでなく情報の透明性も向上し、紙資料も用意せずに済むため、人件費、印刷代、輸送費、資料の破棄など様々な手間・費用を大幅に削減できるようです。システムは一定期間使用した上で総括し、ペーパーレス政府と会議の時短を実現するとともに、各省庁や地方行政にも拡大していく構想です。 ベトナムはこれまでにも、様々な行政サービスでIT化を進めてきました。昔の役所はいつも利用者でごった返し、ただひたすら待つことを強いられたものですが、最近はそんな不満もあまり聞かなくなりました。 IT化に限らず、新しい取り組みを始めれば最初は不完全でトラブルもあるかもしれませんが、少しずつ修正していけばよい話ですので、まずは導入したことを高く評価すべきではないかと思います。
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