ベトナムの今がよくわかる/ベトナムニュース解説6月号

「自分は中間層」ベトナムは96% 実際は55%のみ

博報堂生活総合研究所アセアン(HILL ASEAN)によると、ホーチミン市在住のベトナム人96%が中間層を自認しており、割合はASEANで最も高い。 ただ実際の月収で見ると中間層は55%しかおらず、バンコクの72%とは大きな差がある。 (『Thoi Bao Kinh Te Sai Gon Online』2016年3月14日、『Sai Gon Giai Phong』2016年3月15日、p.03)
解説  国際労働機関(ILO)によるとベトナムは、1991年からこれまでの中間層増加率がASEANで最も速い国のひとつで、2015年は1470万人、2018年には1770万人に拡大する見通しです。 現地で生活していると、上流層への憧れや、上昇志向の強さを感じることは多く、働きながら学校に通ったり、安定職を捨て海外留学したり、高給を求め転職を繰り返す人も少なくありません。便利でオシャレなスマートフォンやタブレットはあっという間に普及しましたし、海外旅行も当たり前、マイカー所有者も非常に増えました。 ベトナムの「自称中間層」の多さが際立ったこの調査は2015年6月にシンガポール、クアラルンプール、バンコク、ジャカルタ、ホーチミン市で20~59歳の男女各都市500人を対象に行われたものです。「調査対象は500人。ホーチミン市、ベトナムの人口に対して少なすぎる」、「国で最も経済が発展している都市での調査。正確じゃない」、「高級住宅街で調査したの? 工場労働者が多い地域ならどうなる?」と疑問の声も出ています。

ストライキ 外資企業での発生がほとんど

労働傷病兵社会福祉省は、2016年2月に全国で発生した労働ストライキが29件だったと発表した。前月比で10件の増加となる。 最も多かったのは、外資企業で20件。原因としては、2016年最低賃金の調整、給料・ボーナスの支給、賃上げや手当等支払い時の企業の制度実行に関連するものが多い。 (『Phap Luat』2016年3月16日、p.13)
解説 外資系工場を中心に近年頻発しているストライキ。特に韓国、台湾企業が目立ち、日系企業でも珍しいものではありません。これらの国々は、ベトナム投資が最も多く絶対的な企業数の多さもありますが、従業員が数千~万単位になる縫製や履物生産、電気・電子製品の組立といった労働集約型工場が多いことも関係しています。 2016年に入って起きたストライキの原因としては、給料・賃上げが地域水準・業務量と比べ低い、規定の賃上げを行う一方で手当や年次昇給率を下げる、唐突な休業、ボーナスの分割支給、賃上げ・ボーナスの発表が遅いといったものがあります。 ストライキは、最低賃金が改正される年末年始やボーナスがからむ旧正月テト(Tet)前後に特に増え、中には「今年のボーナスはコメとバナナと肉だけ」といった“冗談”が火種になった例もあります。 進出10年以上になる企業でも起きていますので、ベトナム人の考えやベトナム社会を理解したつもりにならず、常日頃から従業員の声に耳を傾け、社会の動きを敏感に把握しておくことが大切かもしれません。
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