野口健一 さん/EEカンパニー ビジネスダイレクター

自分らしさを求め、新たな挑戦をベトナムで 表現者から、表現力のあるタレントの育成へ

夢を追いかけ掴んだデビュー 音楽プロデューサーとしても活躍 学生時代はバンドを組み、ベースを担当。大学3年生の時にコンテストで優勝したことを機に、その道1本でいくことを志した。 「就職せずに、音楽の世界で自分の力を試してみたいと親に伝えました。反対されるかと思いきや意外にも好きにしなさい、と(笑)。でも見事、卒業の3年後にCDデビューを決めました」 しかし当時のCD売り上げはミリオンセラーが多く、合格ラインが10万枚の時代。野口さんのバンドは2~3万枚だった。 「3年間活動しましたが、事務所からは契約解除されそうでした。今後どうしたいかと聞かれて、作曲もしていきたいと。それから事務所を移り、音楽のプロデュース業に携わることになったんです」 作曲に限らず、音楽の売り方や宣伝などのプロモーション戦略も担った。これまでに手掛けた作品数は50~60作品以上。 「しかしCD自体が売れなくなる時代に突入。この業界は厳しくなると感じましたね」 音楽の法律や著作権に精通していたことから、同じような権利を取り扱う電子書籍の仕事へと転職。漫画が読めるアプリの立ち上げなどに携わったが、やはり“表現者”でいることが自分らしいと気付いた。 「50歳を越えた時、もう1回チャレンジするなら今かな、と。その頃ベトナムを訪れる機会があり、街の活気を目の当たりにして大きな可能性を感じました」 表現者としてのノウハウを生かし グローバルタレント輩出を目指す 「ベトナムで働きたいと思い、知人の紹介で日本の音楽や日本語に関するテレビ番組のプロデューサーを務めることになりました。ビジネスとしては難しい部分もありましたが、とても良い経験になりました」 番組終了後はホーチミン市からハノイへ移り、現在は商業施設「サクラステーション」の運営や日本書籍のライセンスビジネスのほか、イベント運営やPR、日本の番組やミュージックビデオの撮影コーディネートなどを行っている。 「ベトナムで多岐に渡って仕事をした分、知識も大分身につきました。このタイミングで、今度はベトナム人向けのタレントスクールの運営に挑戦します」 ベトナムにはボイスレッスン、モデルレッスンを提供するスクールが、少数だが存在する。しかし、表現力に必要な演技を指導するスクールはほとんどない。 「歌が上手い歌手、スタイルがいいモデル、というのはいくらでもいます。加えて重要なのが“表現力”。歌う時もランウェイを歩く時も、伝えたいことを表現する力が必要です。なのにそれをベトナムで学ぶ場が少ない。だから、表現スキルを身につけられる場所を作ることにしました」 自分が表現者だったからこそできる仕事を、ここベトナムで見つけた。「将来的にはベトナムだけでなく、日本や世界で活躍できるグローバルタレントを輩出するスクールにしたい」と、野口さんは夢を語った。
野口健一 のぐちけんいち 埼玉県幸手市出身。日本でアーティスト活動、音楽プロデューサーなどを経て、2014年に来越。2019年1月に日本の芸能事務所と提携し、タレントスクール「アクティブハカタハノイ/ACTIVE HAKATA HANOI」を立ち上げた。今後はベトナム人タレントのマネジメントも行う予定。
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