29屋的　越南食卓 ／第17回

交流会や接待の席での 「若者よ、もっと食べろ」が苦痛…

「いやー、いっつも思うんですけど、お客さんのアテンドとか、在住者の異業種交流会とかで『若いんだから、飲め！　食え！』って腹いっぱいなのに勧められるんですよ。正直、めんどいっすわー」と、いみじくものたもうた、リアル友人の若者氏♂。 無理強い厳禁、個人主義マンセー、二言目には「ハラスメント」なる言葉で蝶よ花よと大事にされてきたであろう今日びのナウなヤングにとって、昭和のノミニケーションなる蛮風が遺習として葬り去られようとしているご時世だが、はたして、それでいいのか？　いや、よくない！　と、昭和生まれのおっさんである、このボクは時代の風に逆らってみたい気分である。 昔、ある相撲取りが、世のダイエットブームについての座談会中、「メシを食うのも、仕事のうちでごわす！」と言ったそうだ。とかく来客接待や友人・知人づくりが公私ともに重要なミッションとなっている在越日本人にとって、食事会とはコミュ力、気遣い、センス、魅力、武力、カリスマ性、その他。ありとあらゆるパラメータが試される、真剣勝負の場であると言っても良い。完全プライベートな時間＆空間における気儘なメシとは、別種のものとして考えるべきなのだ。 どうしてもいやなら、料理や飲み物を率先して差配したり、宴席の話題を盛り上げて、自分のペースに持ち込むべきだ。それができない「置物」は、黙ってメシでも食ってろと、胃袋も肝臓もズタボロに老化中の29歳＋αからの若さへのジェラシー爆発。今月も、ガッツ！

【今月の言葉】食材＆弁当屋の店主。本業の傍ら、かつては「愛と勇気とほんの少しのお金」など本誌人気コラムを担当。本コーナーでは、ベトナム事情を踏まえて食卓にまつわる小ネタに切り込みます！