ベトナムの今がよくわかる/ベトナムニュース解説7月号

伝統型小売の優勢続く近代型も2桁成長

市場調査会社カンターワールドパネル(Kantar Worldpanel)の2015年の日用消費財市場の総括と2016年予想に関する調査によると、小規模の雑貨店やパパママストアが引き続き都市、農村市場で優勢となっている。 一方で専門店、ミニスーパー、コンビニ、電子商取引も2桁成長している。 (『Tuoi Tre』2016年 4月14日、p.07)
解説 日本で日用品の買物といえば、スーパーやコンビニといった近代型小売が主流ですが、ベトナムで根強いのはパパママストアと呼ばれる家族経営の個人商店や市場などの伝統型小売です。特に農村でのシェアは98%に上り、ホーチミン市、ハノイ、ダナンなど都市部でも82%を占めています。 市場調査会社ニールセン(Nielsen)によると、ベトナムの伝統型小売店は130万軒以上。2015年には過去10年で初めて、伝統型が近代型を上回る成長を見せました。 特にパパママストアは至る所に存在し、利用者は子どもから高齢者まで幅広く、食品、飲料、タバコなどがよく購入されています。最近はコンビニを中心に近代型の出店も増えており、清潔な店内、陳列の見やすさ、明瞭な価格表示などが好意的に受け止められていますが、急に何か必要になったとき、気軽に行ける身近な存在はやはり伝統型のようです。今後縮小していくと考えられていますが、生活必需品の購入はもちろん、ご近所付き合いの場でもあり、その存在感はまだまだ強いようです。

「家事は女の仕事」ホーチミン市でもまだ色濃く

ホーチミン市3区と10区で最近行われた調査によると、家事の時間は女性の方が男性より多く、女性の1日4.2時間に対し男性は3.6時間。 市開発研究院の調査でも市民に、「家事と育児は女の仕事」という考えが強いことが明らかになっている。 (『Tuoi Tre』2016年4月23日、p.02/『Thoi Bao Kinh Te Sai Gon Online』2016年4月24日)
解説 ビジネスシーンでも、街の商売でも、イキイキと働く女性が目立つベトナム。女性管理職・経営者も多く、2011~2015年のホーチミン市における男女平等国家プログラム実施5年の報告によると、この期間に新規設立された17万1000社のうち、女性が法的代表者という例は3割を占める5万3000社に上ります。 ベトナム女性で専業主婦という人は少数派で、共働きが多いようですが、アフター5に男がのん気に飲みに行く一方で、女性は子どもの迎え、買物、掃除、洗濯、夕飯の支度と、 まさに分刻みのスケジュール。そこに、場合によっては酔っ払って帰ってきたダンナの世話まで加わるわけですから、男性は女性に“おんぶにだっこに肩車”という状況です。 しかしながら、一家の主は男、「男は女よりエライ」といった、家父長制、男尊女卑の思想もまだ残り、家庭内暴力も男性から女性へというものがほとんどで、ホーチミン市で2012~2015年9月に起きた465件の家庭内暴力のうち、被害者は85%が女性、加害者は92%が男性となっています。
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