メディカルトーク いつなるかわからない「急性虫垂炎」発症したらすぐに病院で治療を

メディカルトーク

症例

40代男性。胃の痛みと吐き気の後、発熱があり、右下腹部に集中して痛みが強くなり、歩行困難になったため受診。体温は38.2℃、脈拍101回/分。エコー検査で虫垂の腫れを認め、「急性虫垂炎」と診断。他院で虫垂切除術を受け、3日後に退院した。

今回のドクター

小林直之院長/東京インターナショナルクリニック

① 「 虫垂炎」とは?

「虫垂炎」は海外生活で最も注意すべき疾患の1つです。虫垂は、右下腹部にあり、結腸に付着する数センチの長さのヒモ状の管腔臓器です。便や消化されない食物のほか、何らかのきっかけで虫垂の閉塞、細菌感染、炎症が起きて発症すると言われています。低頻度でバリウム検査が誘引となることもあります。

② 右下腹部の痛みが特徴

症状は発熱、右下腹部の痛み、嘔吐、おならや排便がなくなる、などです。本疾患は、カタル性、蜂窩織炎(ほうかしきえん)性、壊疽(えそ)性に分類され、この順に虫垂壁の炎症が強くなり、虫垂が腫大して重症になります。最終的に虫垂の壁に穴が開き、腹膜炎に進展すると、命に関わります。 診断は医師による触診のほか、血液検査、エコー、CTで行います。結腸憩室、尿管結石、卵巣疾患、子宮外妊娠、他臓器のがんの転移などが原因で腹痛が起きることもあり、虫垂炎の診断は必ずしも容易ではありません。

③ 治療は抗生物質か切除

治療は、抗生物質投与か手術切除です。腹腔鏡手術は、腹部2 〜3 ヶ所に数mm 〜1cmの皮膚切開を加えて行います。小さな創(傷のこと)で、美容的に優れ痛みが少なく、数日間での早期退院が可能であり、ベトナムの病院でも積極的に取り入れています。「炎症を散らす」と言われる抗生剤による保存的治療もありますが、1/3 〜1/2の確率で再発します。

④ 切除後の治療と予防

虫垂切除後は病理検査が必須です。その結果、虫垂がんだった場合は、通院や追加治療が必要となります。現実的に虫垂炎予防のため出来ることは、暴飲暴食やストレスを避けることくらいでしょう。気になる症状があれば専門医に相談を。
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