メディカルトーク 歯ぎしりや、食いしばりによる歯の損傷/歯痛、頭痛の元にもなる「咬合性外傷」って?

メディカルトーク

症例

日本の歯科医院で、定期検診のたびに食いしばりによる歯のすり減りを指摘されていたが放置していた43歳の男性。最近なんとなく歯が痛むようになり、歯科医を受診したところ、咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)と診断された。

今回のドクター

内田結貴医師/スマイルデンタルセンター

① 歯が痛むのは、噛み合わせが原因?

咬合性外傷とは、日頃の噛み合わせによる歯への負担が原因で起こる、歯の損傷や歯周病のことです。特に歯ぎしりや食いしばりは、周りの骨にも影響するなど、歯周病をさらに悪化させるリスク因子でもあります。また、顎関節症や無呼吸症候群の原因になることもあります。

② 咬合性外傷になると、どうなるの?

よくある症状としては、噛んだ時の歯の痛み、すり減りや歯の折れのほか、知覚過敏、詰め物や被せ物のはずれ、歯周病の進行促進などです。また、比較的頻度は低めですが、歯の神経の壊死、顎関節痛や頭痛などもあります。

③ 不安やストレスも要因のひとつに

虫歯痛による片側噛みや歯の抜きっぱなしなどにより噛み合わせの狂いがある場合は症状が起こりやすいといえます。また、精神的、または肉体的なストレス下にある場合、不安や憂うつなどのストレスを歯ぎしりなどにより発散させているといわれ、症状も増加します。

④ どんな治療をすればいいの?

歯の問題なら歯の治療、歯ぐきの問題なら歯周病の治療をすることで、一時的に症状が軽減することもあります。噛み合わせを矯正し、クリーニングやメンテナンスで口腔内環境を整えて、マウスピース(ナイトガード)により歯の負担を軽減させることなどが予防には有効です。

⑤ ストレス発散、習慣の見直しも大切

咬合性外傷の原因となる歯ぎしりや食いしばりは、別名「ブラキシズム(口腔内悪習慣)」とも呼ばれ、生活環境や癖、ストレスにも深く関係しています。「治療する」というより、自身の性格や癖と同じく「うまく付き合っていく」こと、「予防していく」ことが重要です。
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