ベトナムパペット劇場/西部高原の日常を垣間見る 「タイグエン踊り」 Vol.15

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エスニックな衣装と楽器が見所

この演目で最初に登場するのは人形ではなく、牛の頭やカラフルな布で飾られた木の棒。タイグエン(Tay Nguyen/西部高原)に住む山岳民族にとって神聖な飾りだ。腰布を巻いた男性たちが銅製の鐘「ゴング」を打ちならし、竹から作られた鍵盤打楽器「トルン」の音色とともに、活気溢れる音楽を奏でる。すると、臼と杵を持った4人の女性が現れ、2人ずつペアになってテンポよく米をすりつぶす。そんな日常の光景のそばで、元気な青年たちが1頭の牛を連れて登場し、祭りの様子が再現される。神聖な棒の下で1人の青年が竹槍で牛を刺し、神々に供えた後は、村人が繁栄と幸福を祈ってゴングのリズムで楽しく踊る。

ゴングのリズムは聖なる言葉

西部高原では、ザライ(Gia Rai)族、エデ(E De)族、バーナー(Ba Na)族などの山岳民族が伝統的な生活様式を維持し、競象祭りや収穫祭といった大きな祭りでは牛の生贄の儀式もしばしば行われる。この人形劇と同様に、そんな村祭りで重要な役割を担うのがゴングだ。すべてのゴングには神または女神が宿り、その音は人間と神々をつなぐ神聖なものとされてきた。さらに、ゴングが歳月を重ねるとその力が増すと考えられている。祭りの日には、村人が集まって大小様々なゴングとともに陽気に踊る。そのユニークなゴング文化は、2005年に「ベトナム中央高原におけるゴングの文化的空間」としてユネスコ無形文化遺産に登録されている。 Puppet_VNS_ED_201603_Photo_002ベトナムやラオス南部の高原地帯では、村祭りに銅製のゴングが登場し、人々を盛り上げる
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