ベトナムパペット劇場/古の王国から舞い降りた/「チャムダンサーズ」 Vol.12

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©Thang Long Water Puppetry Theatre

派手な衣装にくらべ動きは繊細

露出度の高いきらびやかな衣装とは裏腹に、パペットたちの動きはいたって地味。シンクロしながら足や手を片方ずつ挙げて横に移動したり、首だけを横に細かく振ったりと、一貫してスローテンポだが、見慣れてくるとどこか妖艶さも漂ってくる。 演目「チャム踊り/Mua Cham」でパペットが披露する踊りは、ベトナム中南部に住むチャム族の伝統舞踏のうち、「宮廷踊り/Mua Cung Dinh」と呼ばれるもの。パペットが扮するのは古代インド神話の天女アプサラ(Apsara)で、同様の踊りは隣国のラオスやカンボジアにも伝わっている。

チャム族の豊かなダンス文化

WaterPuppet_VNS_ED_photo_002チャム族の踊りのひとつ「タミアドワブク/Tamia Dwa Buk」。手を一切使わず、頭の上にかめを保ったまま立ったり座ったりするする動きは熟練を要する
©Inra Jaya
チャム族は15世紀半ばまでベトナム中部にあったチャンパ(Cham Pa)王国の担い手。長きにわたり海洋交易で栄えた王国はインド文化の影響を受け、この「宮廷踊り」にも反映されている。チャム族のエッセンスを凝縮したこの演目のように、多彩な文化に触れられるのも、水上人形劇の醍醐味といえる。 ちなみに、チャム文化には人々の生活に密着したユニークな踊りも多い。船を漕ぐ踊り、クジャクの動きをまねた踊り、扇子やナイフ、鞭などの小道具を使った踊り、打楽器に合わせて火を踏む踊りのほか、男女の営みを表現した「陰陽踊り」まである。なかには1つの村にしか残っていないものもあり、現在、研究・保存に力が注がれている。
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