メディカルトーク/第112回体重減少や手指の震えに注意「バセドウ病」

メディカルトーク症例

45歳女性。動悸、息切れ、暑さに弱い、疲れやすい、下痢等の症状が3ヶ月続き、体重は8kg減少。甲状腺の腫れ、眼球突出、頻脈などの症状も出現した。検査の結果「バセドウ病」と診断。抗甲状腺薬で治療し、1ヶ月後には体重が2kg増加と改善した。

今回のドクター

ブイ・ミン・ドゥック内科医/ヴィンメック国際総合病院
①「バセドウ病」とはどんな病気? バセドウ病とは、甲状腺ホルモンを過剰に生産する免疫系異常によって引き起こされる自己免疫疾患で、ベトナムでも多く見られます。通常、甲状腺機能は脳下垂体と呼ばれる場所から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調節されますが、バセドウ病では、体内に甲状腺を刺激するTSHレセプター抗体ができてしまい、調節機能が正常に働かず、甲状腺ホルモンの合成が過剰になります。現在、なぜ甲状腺を異常に刺激する抗体が作られてしまうのかはまだ分かっていません。 ②手指の震えもバセドウ病かも? 赤あざなどの血管腫をはじめ、甲状腺が全体的に腫れる「びまん性甲状腺腫」などが見られるほか、手指の震え、体重減少もバセドウ病の可能性があります。また、眼球突出が起こる場合も。治療せずに放置すると、悪性眼球突出、心不全、あるいは甲状腺クリーゼへと進行することがあります。 ③治療方法は3種類 治療方法は3つあり、病気の程度や患者の年齢によって異なります。1つ目は1年半~2年にわたる抗甲状腺剤の内服で、多くのバセドウ病患者がこの治療をしています。甲状腺腫が小さい場合などに効果的ですが、初期は発熱、咽頭痛、敗血症、肝機能異常、かゆみ、発疹、白血球の顆粒が低下する無顆粒球症など副作用を伴う場合があるため、注意が必要です。2つ目は手術。甲状腺腫が大きい患者に施しますが、こちらも甲状腺機能低下、声帯が麻痺する反回神経麻痺、副甲状腺機能低下症などの副作用が出る場合も。3つ目が放射性ヨウ素治療で、高齢者、体が弱い患者に対して行います。妊娠中や授乳中の女性および直近の妊娠を望む女性には行いません。 内科治療を行う際は、臨床症状を観察していくことが必要です。薬の副作用を早期発見し、重症化や合併症などを防ぐことが大切なのです。
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