メディカルトーク/第108回首のヘルニア「頚椎椎間板ヘルニア」

メディカルトーク症例

仕事はデスクワークでゴルフが趣味という53歳の男性。3ヶ月前より右の肩から腕にしびれが出るようになり、マッサージをしたり、整体に行ったりしたが徐々に症状が悪化し、受診。患部の安静、頸椎カラーの装着と消炎鎮痛薬の内服で改善。

今回のドクター

腰塚裕医師/東京インターナショナルクリニック
①年齢による変化で椎間板が変形 「頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニア」とは、頚部(けいぶ)の骨と骨の間でクッションの役割をしている椎間板が、主に加齢変化により後方に飛び出して周辺の神経を圧迫する状態を指します。30~50歳代に多く、しばしば誘因なく発症します。しかし、正しくない姿勢での仕事や、スポーツが誘因になることもあります。 ②歩行障害が出ることも 整形外科を受診する方の中で頻度が高い病気です。頭痛、首や肩、腕に痛みやしびれが出る、指の力が入らない、箸が使いにくくなる、洋服のボタンがかけづらくなるなどの症状が見られます。程度が進行すると、脊髄の圧迫により、足のもつれ、歩行障害が出て、仕事や日常生活に悪影響を及ぼすこともあります。 ③まず首の安静を 痛みが強い時期は、首の安静が第一。首の周りに装着し、頸椎(首)を保護する頸椎カラー装具を用いることもあります。また、消炎鎮痛薬の内服、麻酔を用いる神経ブロックなどで痛みを緩和します。症状に応じて牽引療法を行ったり、運動療法を行ったりすることもあります。激しいマッサージや長風呂は避けた方がよいでしょう。これらの方法で症状の改善がなく、上肢・下肢の筋力の低下が続く時や、歩行障害や排尿障害が出現した場合は、最終的に手術を行うこともあります。 ④脳卒中の危険が潜んでいる場合も 頚椎ヘルニアは即、命に関わる病気ではありませんが、社会生活の制限が出てくるのが問題です。脳卒中、腫瘍などが潜んでいる可能性もあり、注意する必要があるでしょう。ベトナムの病院に通っていても経過が悪く、セカンドオピニオンのため相談に来られる方もいます。気になる症状が出たら、早めに受診しましょう。
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