ベトナムの日本人/南陽子さん /日本語教師

生徒には技能実習生のほか、企業家も。 20年ものクラブママのキャリアで培った経験をベトナム人へ伝授

撮影/杉田憲昭 IMG_6980 「南先生、よろしくお願いします!」 ベトナム人技能実習生が日本での生活習慣などを学ぶ機関「ビナギメックス(VINAGIMEX)社」へ伺うと、約50人の生徒たちによる授業開始の挨拶が聞こえてきた。教壇に立つのは、日本語教師の南陽子さん。日本語学習初級者向けに日本語や日本文化を教えることをはじめ、日本で働く人たちに必要な情報を伝える生活指導、さらには、ベトナム人企業家やジェネラルマネジャーに向けて、日本の風習やしきたりといった、今すぐ実践できる情報を伝授している。 「マネージャークラスの方からの質問でよくあるのは、『ビジネスをする上での日本人の本音を知りたい』、『日本人同士の場合は、どのように接待しているのか?』など。日本人は世界一きめ細やかだと思うので、ベトナム人からすると日本人への対応の仕方がとても難しいのでしょう」。 小柄ながらも凛とした立ち姿は、威厳さえ感じる。それもそのはず、南さんは、大阪の北新地の一流クラブで約20年、クラブママとして勤務していたという異色の経歴の持ち主なのだ。 「当時はビジネスマンだけでなく、著名な方を接客しておりました。何十人という女性従業員を指導しており、例えば、相手の方の胸に付けているバッジを覚えること。お客様を立て、阿吽(あうん)の呼吸でやりとりをすることなど。今、ベトナム人の方に教えていることは、そのとき伝えていたことなのです」。 しかし、なぜ、クラブママのキャリアを捨てて、日本語教師になったのだろうか。 「お店によく来てくださった某芸能プロの常務さんが、『人間には旬がある』とおっしゃっていました。また女優さんは今は人気があっても必ず終わりが来るという意識を持っているんですね。その言葉に感銘を受けて、私も違う道を歩んで、世界に恩返しがしたいと思うようになりました。そして、働きながら、日本語教師の勉強を始めたのです」。 働きながら勉強を続けることは難しく、残念ながら仕事を辞めることになってしまったが、見事、日本語教師の資格を取得。大阪の日本語学校で勤務を開始した。 「各国の教え子たちの中でも、特にベトナム人は真面目という印象を受け、ベトナムに興味を持ちました。数度の視察をし、今後の可能性を感じて、昨年、ベトナムに来ました」。 現在、教師として働く一方で、大学でベトナム語を学ぶ南さん。言葉の習得以外に、自身が教わる立場になることで得たものがあったという。 「この国はとても先生を尊重する文化があり、大切にしていること。そして、先生の指導はとても丁寧で、教え方を盗んでいます(笑)。それに知らないことを知ることはとても楽しい! その楽しさを私の生徒たちにも伝えていきたいです」。 教え子たちが他国を知ることを、自らも生徒の立場になって体験して、学ぶその姿勢は、教師という仕事に真摯に向き合う南さんの強みといえる。
南陽子 みなみようこ 奈良県出身。日本語教師として働きながら、ホンバン(Hong Bang)大学に在学中。大阪・北新地のクラブでママとして約20年在籍。日本語教師の資格を取得し、日本で2年間日本語教師として活躍。その後、来越。救急指導員や茶道、華道の師範の資格を持つ。
関連記事
Related Articles
ゆるく、楽しく、気軽にフットサルサイゴン蹴球部
2024.10.20

ゆるく、楽しく、気軽にフットサルサイゴン蹴球部

会員急増中! 和やかな卒業生会!ハノイ三田会(慶応大学同窓会)
2024.10.20

会員急増中! 和やかな卒業生会!ハノイ三田会(慶応大学同窓会)

お気軽にご連絡下さい東京都民会
2024.10.20

お気軽にご連絡下さい東京都民会

東北6県に縁のある方であれば、 どなたでも参加可能ですサイゴン東北六魂会
2024.09.20

東北6県に縁のある方であれば、 どなたでも参加可能ですサイゴン東北六魂会

集え!  東海大学卒業生! 留学生!東海大学同窓会ベトナム支部
2024.09.20

集え! 東海大学卒業生! 留学生!東海大学同窓会ベトナム支部