メディカルトーク／第106回 長引く咳は要注意 咳喘息

症例

今回のドクター

①「咳喘息」とは？ 咳喘息は、気管支に炎症を起こして咳が長期間続く病気です。多くは風邪に続いておこります。風邪の際に３～４週間以上咳が続いたら、この病気を考える必要があります。咳喘息は最近増えている病気で、喘息の前段階と考えられています。咳喘息の約30％が喘息に移行するといわれていますので、きちんと診断・治療することが大切です。 ②発熱や痰はない空咳が続く 喘息と違い、ゼーゼー、ヒューヒューといった呼吸音や呼吸困難がなく、咳だけが長期間続きます。発熱や痰を伴わない空咳です。夜間から明け方にひどくなる傾向にあり、冷たい空気やタバコの煙、会話などで咳き込みやすくなります。胸部X線で異常がないことも特徴のひとつです。 ③治療はどうするの？ 咳喘息の場合、風邪薬や抗生物質は効果がありません。治療には、「気管支拡張薬」という気管支を拡張させて呼吸を楽にする薬や、吸引ステロイド剤などを使います。薬剤を霧状にして吸入するネブライザーも非常に有効です。咳が治まってきたからといって、すぐに治療を止めてしまわず、根気よく治療を続けることが大切です。 ④日頃から気を付けておくことは？ タバコを吸うと気管支を刺激して咳が出やすくなります。また、人が吸っているタバコの煙（副流煙）も咳喘息を悪化させるので注意が必要です。温度の変化もよくありませんので、エアコンを使用するときには設定温度を下げ過ぎないように気を付けましょう。埃やオートバイの排気ガスも要注意です。アルコールやストレスも咳喘息を悪化させる要因になります。 頑固な咳が長引く場合には、肺炎、肺結核、肺がんなど咳喘息以外の病気の可能性もあります。その際、診察と必要な検査を受けるようにして下さい。