メディカルトーク /第103回 皮膚の炎症には 保湿クリームを

メディカルトーク症例

汗をよくかき、毎日プール遊びをしていた4歳児。ひざの裏等にぶつぶつが現れ近医へ。細菌感染の疑いで、ステロイド軟膏でかゆみが治まるが、やめるとかゆみがぶりした。数ヶ月後、患部の皮膚が薄くなり、黒ずむ色素沈着も見え、当院を受診。軟膏を止め、保湿クリームの治療により、数週間で完治。

今回のドクター

ルーベン・ティネス医師/ファミリーメディカルプラクティスホーチミン
①汗をかきやすい部分に発症 かゆみを伴う皮膚の炎症をまとめて、湿疹(しっしん)といいます。皮膚が赤くなったり、ぶつぶつや水ぶくれ、カサカサに乾燥するなど、さまざまな皮膚の症状が見られます。湿疹は二の腕やひざの裏など、汗をかきやすい部分に発症しやすいですが、手や体の各所に出てきます。乳児の場合は、頭皮などにも現れることがあり、特に、ぜんそくを持っている子どもによく見られます。 ②皮脂の異常が湿疹を引き起こす よくある原因としては、皮膚から分泌される皮脂の異常があります。通常、外界からのあらゆる有害物質の侵入を防いだり、体の水分の喪失を防いでくれる皮脂が不足することで、皮膚がより刺激を受けやすい状態となり、湿疹ができやすくなります。 子どもの場合、家ダニや、毛の長いペット、洗剤、気候の変化、ストレスや食べ物が原因となる場合もあります。 ③ひどくなったら、早めに皮膚科へ 合併症で弱っている状態の皮膚は、細菌感染(とびひ)やヘルペスウイルスなどのウイルス感染を起こしやすくなります。かゆい皮疹ができて、数日経っても自然に消えないときや、どんどん皮疹が広がるときには、早めに皮膚科を受診し、適切な治療を受けましょう。 ④適切な保湿軟膏で皮膚を保護 適切な治療法は保湿クリームや保湿軟膏で皮膚を保護すること。湿疹はたくさんの種類があり、治療法が異なります。不適切な軟膏によって悪化させることもあります。ステロイド軟膏の使用にも十分気をつけましょう。 保湿クリームで思うような効果が得られない、眠れないほど強いかゆみを伴う場合は、ステロイド剤の併用が考えられます。この場合、副作用が起きないよう処方期間を守ることが重要です。かゆみ止めには抗ヒスタミン薬などの服用も有効です。
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