人生相談29屋にきけ！ フォ!!!!／第01回

29屋（にくや） 食材＆弁当屋の店主。本業の傍ら、かつては「愛と勇気とほんの少しのお金」など本誌人気コラムを担当。本コーナーでは、ベトナム暮らしのさまざまな悩みをバッサリ解決（！？）します！

Q.「海外暮らしの必須ツール？　ネットでの人付き合いが、 濃密すぎてめんどくさい...」

29屋さん、こんにちは。ベトナムに駐在して、約１年。ラインやフェイスブックなどのネットでの人付き合いに疲れてます。こまめに旅行や飲み会の写真をアップしていたのも最初のうち。だんだん「いいね!」やレスの数を気にしたり、人のコメントに反応するのが面倒になってきました。しかも先日、私が投稿した時事問題の意見を巡って知人同士がケンカになり、仲が悪いままです。どうすればよいのでしょうか?

A.「ツール」とは、使いこなしてこその「道具」、「手段」也。たとえば、平安貴族が和歌の応酬で求愛・誹謗・表現しまくったが如く。

己のセンスを人に認めてもらいたいという欲求は、いつの世にも普遍ですが、日本は最近、ネットリテラシーと、ネット中毒の危険性が叫ばれ、たとえ個人的な見解であったとしても、モラルや法に反したり、政治・宗教・誹謗にかかわる投稿は御法度のようです。 一方、娯楽が少なく、人付き合いが気安いベトナムでの生活では、ついそのコントロールも緩みがち。挙句、四六時中、ネットに張り付いてないと、仲間内の話題に置いて行かれるような気になったり、ヒマと酔いに任せて書き込んだ一言がガチンコの大喧嘩に発展するようなことにもなり、こうなるとネットを使ってるんだか使われてるんだか、分からなくなってしまいます。 肝心なのは、道具を使いこなすセンスと度量。あくまで、他人と心を通わせ、知識を共有するための「触媒」として気軽に遊ぶべきであり、貴男自身にブレない自信があるのなら、いちいち１００か０かで悩む必要はありません。孤高と友和は、決して対極の概念ではなく、同時に持得る精神だからです。

悪いのはネットではなく、もともとの相性かと

そもそも、リアルでの面識の有無にかかわらず、ネットの発言をめぐって「筋道を立てた議論」ではなく「感情的な大喧嘩」になるのは、文章の表現力と、ニュアンスを読み取れるだけの信頼関係がないからである。必ずしも相性ピッタリの組み合わせとは言えない。プロレスが殺人技を掛けあえるのは、互いの技術と協力と体力があるからで、素人が真似したら新聞沙汰の大事に発展するのは明らか。己の「分」をわきまえて、適度に当たり障りなく、時々、炎上覚悟で毒を吐き出すぐらいで行きましょう。ガッツです。

【今月の言葉】 「多数の友を持つ者は、一人の友をも持たない」　ＢＹ　アリストテレス