ベトナムの日本人／高瀬美砂さん／脳幹活性健康法アドバイザー

自分で管理するからこそ、健康のありがたさが分かるようになる 「ライオンあくび健康法」で世界中の人々の笑顔に会いたい

あくびを繰り返し、その後スヤスヤと講習中に寝てしまうベトナム人受講者。その姿に、しめしめと笑みを浮かべる高瀬美砂さん。彼らのこのような反応は、「ライオンあくび健康法」のリラックス効果の表れで、アドバイザーとしての高瀬さんの心を弾ませる。 「ライオンあくび健康法」とは、ライオンのあくびのように大きく口を開閉するというシンプルな動作で脳幹（呼吸や睡眠、ホルモンバランスなどの調整を担う部分）を刺激し、自然治癒力を高める健康法だ。整体やカイロプラクティックの施術師として活躍してきた駒川耕司氏が考案。「首のストレッチで右より左の方が曲げやすいなら、左側だけやればいい。すると無理なく苦手な側の障壁を緩和できる」という指導や、「あくびや貧乏ゆすりはストレス発散のために必要な動作。我慢せず、むしろやるべき」と推奨するなど、理論や方法の意外さが注目されている。日本各地で講習会が行われ、簡単にできる健康法として人気だが、駒川氏から講師認定されているのはわずか3名。高瀬さんは唯一、海外で活躍している。 「病気の治療ではなく、安全に自分で体調を整えるための健康体操です。効果の出方に個人差はありますが、家族や友人に試すうちに喜ばれることが多くて、身内に留めておくのはもったいないと思うようになりました。健康を取り戻した方の笑顔が見られるのはすごくうれしいです」と、アドバイザーを続ける理由を気取らず語る。 受講後、スッキリした表情のベトナム人から「私のおじさんにも教えてほしい！」と話しかけられると、「もちろん。いつでもいいし、どこでも行きますよ」と明るく笑顔で答えた。そんなハツラツとした印象の彼女だが、2011年に不慮の事故で仙椎（※）にヒビが入り、半年間寝たきりの生活を送っていた。同健康法との出会いで、2週間後には健康と笑顔を取り戻し、元気な姿を見て一番驚いたのは、ご主人だったそうだ。健康管理の大切さや健康に悩む当事者とその周りに元気を与えたいという想いの根底には、そばでずっと支えてくれた人を喜ばすことができた実体験があるからだろう。 「ストレスは脳幹の機能を妨げます。逆に言えば、ストレスが少ない人は脳幹が活性化されやすいのですが、ベトナム人は日本人に比べて、体操の効果が出るのが早いです。素直さや日々の物事の考え方などが影響しているのかもしれませんね」。 言葉が通じなくても、身振り手振りで伝えられるのも同健康法の大きな魅力。受講者のアメリカ人からは、よく眠れるようになるという意味で「ドリームセラピー」と呼ばれ、ベトナム人からは他の人にも簡単に伝授できるところから「恩恵を他人に引き渡すという、仏教的思想がベトナム文化に合う」として喜ばれている。 「脳幹に国境はないんですね」。 世界中の人に浸透させたいという彼女の想いが、ここハノイで広まりつつある。 ※せんつい。脊柱内の腰椎と尾椎の間にある５個の椎骨

高瀬美砂　たかせみさ 1971年、兵庫県神戸市生まれ。2011年「ライオンあくび健康法」に出会い、同健康法の講師として活動開始。2013年、夫の仕事で来越。現在、本業は日本語教師だが、要請があった場合のみ適宜、同健康法のアドバイザーを務めている。 ウエブサイト：http://ameblo.jp/energy-healing